節税の正体

運会計士の「目から鱗」経営【連載 第7回】

結論から申し上げます。
節税の正体は、業績が悪くなって税金が少なくなっただけです。
節税対策にはいろいろありますが、決算間際に保険に加入する、設備・備品・車両などを購入する、社員に決算賞与を支払うなどは、経費を多く使って利益を減らしたので税金が少なくなっただけのことです。
業績を意図的に悪くしたので、税金が安くなるのは当たり前です。
これは節税ではなく、業績悪化なのです。

さて、なぜこんなにも業績を悪化させる節税が横行するのでしょうか? 
理由としては、次のことが挙げられます。

◉税金をあまり支払いたくない

私も含めて、ほとんどの人がこう思っていると思います。

◉税金を安くするためには、利益を減らさなければならない 

利益を減らすことは良くないと分かっていても、税金を減らすことの方を優先してしまいます。
優秀な経営者は、ここで節税はまずいと気が付きます。

◉利益を減らすためには、経費を増やさないといけない(経費には資金の流出を伴う)

資金を減らしても何とかなると思って、安易に資金を流出してしまいます。
また、節税には資金流出させる次のような巧妙な思惑が入っています。

◉社員に決算賞与を支払う
→社長は社員に良い顔ができる

業績が良いときに決算賞与を支払うのであれば、業績が悪いときは返金してくれるのでしょうか? 
さらに、決算賞与を支払わないときに社員のモチベーションは一気に下がります。

◉社長の高級車を買い替える
→自分の欲望がかなえられる

もともと社長が会社のお金で高級車に乗る必要があるのでしょうか?

◉生命保険に加入する
→将来、資金が戻ってくる

無駄な生命保険に入るぐらいなら、預金した方がよいです。

◉早めに機械・備品を買い換える
→早く新しい物に買い替えれば安心

機械や備品はできるだけ長く使う、あるいは中古品を使えば十分です。
節税の構図は「資金支出↓経費増大↓利益減少↓税金の減少」です。
これでもあなたは節税をしますか?

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