DXの目的とはビジネスモデルの変革|DXの先進企業の事例【木幡計器製作所】

DXの目的はビジネスモデルを変えること

DXとは、単なる「IT化」ではありません。

2018年12月に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

経済産業省:DXガイドライン

DXの目的はビジネスモデル(誰に・何を・どうやって提供するか)を変えることにあり、その結果として業務プロセスも変革を求められます。

情報処理推進機構の「中小規模製造業の製造分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)のための事例調査報告書」(2020年7月)には、中小企業製造業のDX成功事例がいくつか記載されています。その中から、木幡計器製作所の事例をご紹介します。

木幡計器製作所の事例

参照:木幡計器製作所

木幡計器製作所は大阪市にある圧力計などの計測・制御機器の老舗メーカーで、船舶向けの計器製造を強みとし、従業員数は約20人です。

既存事業の延長線上で新たに取り組めることはないかを模索するうち、同社の事業範囲は計器の納入までですが、納入先であるプラントやビルのメンテナンス企業で、数年前から保全業務を省力化する動きがあることに気付きます。
特にビルメンテナンス業界は人材不足の状況にあり、計器をチェックする作業員が十分に確保されていないという現状を知りました。

そこで従来の機械式圧力計に無線デバイスを搭載し、計測結果をクラウドサーバーに送信するシステムを開発、さらに「後付けIoTセンサ・無線通信ユニット」を開発し、多数の工場や大規模商業ビルの機械室などに取り付けられているアナログ式計器を新たな計器に取り換えることなく、遠隔監視できるようにしました。

その結果、熟練技術者でなくても点検業務が効率的に行えるようになり、業界内での提供サービスの差別化を実現しました。また呼吸筋力測定機器の開発により、医療機器事業という新たな市場にも進出を果たしています。

ITを使える人材の育成

情報処理推進機構のサイトには、DXに先進的に取り組んでいる企業に対し、取り組み事例についてヒアリング調査を行った報告書も掲載されています。

多くのDXの先進企業では、経営、事業、技術の3つに通じ、リーダーシップを発揮できる人材が中心となり、DXの方向性や開発推進、事業適用を牽引したと回答しています。

しかし、そんな優秀な人材はどの組織にもいるわけではありません。そのような組織では、

  • 事業の現場の人材をDXプロジェクトに巻き込み、デジタル技術の知見を身に着けさせる。
  • ITの知識がない事業の現場の人に基本的なデジタル技術を学ばせ、デジタルを使える人事の裾野を広げる。

ということが重要だそうです。

ITを導入しても、ITを使える人材がいなくて結局元のアナログに戻ってしまったという話はよく聞きます。最新のITサービスを学べるセミナー、研修会はネットで探せばたくさん見つかります。
デジタル人材育成にいかしてみてはいかがですか。