色のユニバーサルデザイン①色の見え方の多様性を知ろう

色のユニバーサルデザイン①
色の見え方の多様性を知ろう

デザインコラム 【連載 vol.07】

味覚や視覚と同じように、色の見え方(色覚)にも個人差があります。
同じものを見ていても、自分と友人とでは色の見え方が違うかもしれません。
同じ色名で呼んでいるものが、同じ色に見えているとは限りません。また、何色かを区別するのが難しいと感じる人もいます。

このような色覚の多様性に配慮するためにも、前回ご紹介した「ユニバーサルデザイン」の考え方が必要になってきます。

ユニバーサルデザインってなに?すべての人が利用しやすいデザインを目指そう

色の側面から視覚情報に関わるユニバーサルデザインを考えることを「色のユニバーサルデザイン」と言います。
今回は、色のユニバーサルデザインの導入として、どのような色覚タイプがあるのかをご紹介します。

色覚の多様性

色を識別する特性を色覚特性といいます。
遺伝や加齢によって区別しにくい色の組み合わせがあったり、暗く見えたりと、色覚特性には個人差があります。

かつて、大多数の人と色の見え方が異なる人は「色弱」「色覚異常」と言われていました。大多数の人の色覚を「正常」だとすると、そうでない人は「異常」でしょうか。
近年では、色覚の違いは多様性のひとつであるという考え方から、「色覚多様性」という呼び方が提唱されています。

そんな色覚多様性の観点からユニバーサルデザインを考えるためには、多様な色の見え方を知り、どの色の組み合わせが区別しにくい、見にくいのかを把握する必要があります。
多くの人にわかりやすいデザインにするために、色だけではなく形を変更したり、説明を入れたりなどの工夫や検討が大切です。

色覚の多様性
同じ色名を答えても、見えている色は個人差がある

色が見えるしくみ

そもそも、私たちはどのように色を見ているのでしょうか。
多様な色覚を知る最初のステップとして、色が見えるしくみをご紹介します。

「りんご」を見たときに赤色を認識するまでのしくみ

太陽や蛍光灯から発せられた光の中から、私たちが赤いと感じる光をりんごの表面で反射し、その光が私たちの眼に入ることで色の感覚が生まれます。
眼に入った光の情報が処理され、脳に伝わることで色の感覚が生まれ、その感覚を「赤」と判断することで、りんごが赤く見えています。
最後は見ている人の判断で色を判断しているため、色の感じ方に個人差が生じます。

太陽や蛍光灯「光源」、りんご「物体」、私たちの眼「視覚」の3つの要素が合わさって、色が生み出されます。
3つのうちのどれかが変わると、色の見え方が変わります。

色を見るための三要素

眼に入った光の情報処理のしくみ

物体から反射された光が眼に入ると、網膜の中にある錐体細胞と杆体細胞という、光の情報を処理する2種類の視細胞に到達します。
錐体細胞は明るいところで色の感覚を識別し、杆体細胞は暗いところで明暗の感覚を識別します。
錐体細胞には、L錐体、M錐体とS錐体の3種類があり、それぞれ感じる光の種類が違います。3種類の錐体から出される信号が組み合わさることで色が生じます。

錐体細胞と杆体細胞から出された信号は脳に送られ、その色の色相、明度、彩度と色の系統のカテゴリー分類を行い、見ている色を判断します。
錐体細胞からの信号が色の情報のもとになっているため、錐体細胞に異変があると、色の見え方が変わります。

光の情報処理のしくみ

色覚タイプの分類

色の見え方には個人差があり、その色覚の違いは多様性です。
ですが、色の見え方が大多数の人とかなり異なる場合は、医学的に「色覚異常」と診断されます。

色覚異常と呼ばれる日本人の割合は
・男性:5%(20人に1人)
・女性:0.2%(500人に1人)

程度で、国内だけでも300万人以上になります。

色覚異常のタイプは、先程ご紹介した3種類の錐体のうち、どの錐体に異変があるかによって以下のように分類されます。(カッコ内は別の呼び方)

色覚タイプの分類表

3色覚(C型色覚)

3種類の錐体に機能不全がない色覚です。
いわゆる「正常」と言われる色覚で、日本人男性の95%、女性の99%以上を占めます。

1型色覚

赤い光に感度が高いL錐体に異変がある色覚です。
「1型2色覚」と「1型3色覚」に分類され、1型2色覚の方が1型3色覚よりも色を見分けにくいとされています。

1型2色覚(P型)

L錐体を持っていない、機能していない色覚。M錐体とS錐体の2種類で色を感じます。

1型3色覚(PA型)

L錐体を持っているが、本来よりも感度がM錐体に近い色覚。

2型色覚

緑の光に感度が高いM錐体に異変がある色覚です。
「2型2色覚」と「2型3色覚」に分類され、2型2色覚の方が2型3色覚よりも色を見分けにくいとされています。

2型2色覚(D型)

M錐体を持っていない、機能していない色覚。L錐体とS錐体の2種類で色を感じます。

2型3色覚(DA型)

M錐体を持っているが、本来よりも感度がL錐体に近い色覚。

3型色覚(T型)

青い光に感度が高いS錐体を持っていない、機能していない色覚です。
L錐体とM錐体の2種類で色を感じます。
眼の病気を原因とした後天性の場合が多く、先天性の3型色覚の人は極めてまれです。

1色覚(A型)

L錐体、M錐体、S錐体にうちひとつの錐体しか機能していない、もしくはどの錐体も機能していない色覚で、極めてまれな色覚です。
2種類以上の錐体がないと色みの違いがわからないため、明暗の感覚のみになります。

まとめ

今回は、多様な色覚についてご紹介しました。
簡単に内容をまとめました。

  • 色を識別する特性を色覚特性といい、個人差がある
  • 「光源」「物体」「視覚」の3つの要素が合わさって色が生み出される
  • 眼に入った光は、錐体細胞・杆体細胞で信号に変換され、脳へ送られたのち色を認識する
  • 3色覚:3種類の錐体に機能不全がない色覚
  • 1型色覚:赤い光に感度が高いL錐体に異常がある色覚
  • 2型色覚:緑の光に感度が高いM錐体に異常がある色覚
  • 3型色覚:青い光に感度が高いS錐体を持っていない、機能していない色覚
  • 1色覚:L錐体、M錐体、S錐体にうちひとつの錐体しか機能していない、もしくはどの錐体も機能していない色覚

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次回のコラムでは、1型色覚と2型色覚を掘り下げて、それぞれの色の見え方をご紹介します。何の色の組み合わせが区別しにくいのかを知っていきましょう。

今回ご紹介した色覚の多様性を通して、自分や周りの人の色の見え方を考えるきっかけになれば幸いです。