「アイ・メッセージ」とは?相手を尊重したコミュニケーション法

ビジネス こころと体の健康増進室【 連載 FILE 006 】

「アイ・メッセージ」とは相手を尊重したコミュニケーション方法のこと。

わたしたちは家や会社、1人で買い物をする時でも会話をしています。
プライベートでも仕事でも同じです。
どんな時でも気持ちの良い楽しい会話ならよいですが、人と会話することでストレスが生まれてしまう時もありますよね。
自分の言いたいことがうまく伝えられるか心配になったり、伝えたいと強く思うほど感情的になって内容や言葉が飛んだり、逆に余計なことを言ってしまったりしがちです。

今回は相手を尊重したコミュニケーション法、「アイ・メッセージ」についてご紹介します。

アイ・メッセージとは

 

 アイ・メッセージとは、「私は」から始まるように伝えていく方法です。
そうすることで、自然と自分が思っていることや自分の感情を伝える形になります。
これは、アメリカの心理学者、トマス・ゴードン氏が提案するメソッド「親業訓練」の中で彼が提唱したコミュニケーション方法です。

例を挙げると、トイレの電気を消し忘れた家族へ消し忘れを伝える場合の「あっ! また忘れてる。なんで忘れちゃうの? もっとしっかりして!」をアイ・メッセージに変換すると、「私は電気を消し忘れてほしくないです。無駄な電気代も、代わりに消すことも私は負担に感じます。気を付けてくれれば私は楽になるので助かります。」となります。
「あなたまた忘れてるよ。あなたはなんで忘れちゃうの? あなたがもっとしっかりして!」は「あなた」が主語になっています。
これを「ユー・メッセージ」と言います。アイ・メッセージに比べて、相手を叱っているような、責めているような印象になりますね。

アイ・メッセージを使用した例文では「負担に感じる」や「楽になる」など、話し手の気持ち・感情を表す言葉がありました。
ユー・メッセージから感じ取られる感情は、「いら立ち」や「怒り」です。

アイ・メッセージが出てこない時の対処法

子どもを叱らなければならない時や後輩を指導しなければならない時、恋人とケンカしている時などは感情的になっている場合が多く、ついつい責めるような言葉で相手を問いただしてしまって、アイ・メッセージが上手くでてこないことがあります。

そんな時に気をつけることは、とにかく「私は」と声に出してしまうことです。
その後、どうしてその感情を抱いているかを説明すれば、意識せずともアイ・メッセージが自然に続くはずです。
「なんで?」「やめて!」など、相手を批判・責め立てる言葉が出そうになったら1度ぐっと飲み込んで、「私は」と声に出してみましょう。

相手を尊重したコミュニケーションが可能

身近な人だからこそ言ってしまう「ねぇ、ちょっとゴミ捨ててきて!」という言葉、これもユー・メッセージに当てはまります。
これをアイ・メッセージに言い直してみると「ねぇ、ちょっとゴミを捨ててきてくれると助かるんだけど」となります。

このように、「あなたが〇〇しなさい」という言い方ではなく、少し踏ん張って、「私は助かる」「私はうれしい」「私は安心できる」という自分の感情をアイ・メッセージにして伝えてみると、嫌な空気にはなりませんね。

・(私は)連絡がなくてさみしい
・(私は)そう言われると悲しい
・(私は)その場所に行くのは心配だ

このように、主語を「私」にして伝えていくと、相手の行動まで制限をしないで相手のテリトリーを守りつつ、相手を尊重した柔らかい表現とコミュニケーションが可能となります。
互いを尊重した会話のキャッチボールを行い、互いに気持ちの良い着地点へ向かっていきましょう。