「時効が迫った債権回収、どうすればよい?」時効の完成にも注意が必要!

藤田弁護士の法律相談所【 連載 第1回 】

工事代金や売掛金を支払ってくれません。どのように回収を進めていけばよいでしょうか?
時効も迫っているようです。
中小企業の経営者の中でこのようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回はそんなお悩みを解決します。

債権回収の交渉は弁護士にご依頼を

催促しても代金を支払ってくれない場合は、弁護士に債権回収の交渉を依頼すべきです。
弁護士が相手方に内容証明を郵便を送り、改めて代金や売掛金の支払いを請求することで、相手は「本気」だと感じ、任意に支払ってくることがあります。

訴訟や財産の差押えは最後の手段

もし、交渉をしても相手方が支払おうとしない場合や、弁護士からの電話や書面を無視し続ける場合は、訴訟を選択せざるを得ません。
訴訟を提起する前に、財産を保全するために、「仮差押え」などの保全手続をするのも選択肢の一つとなります。
訴訟が終わるまでの間、相手方の財産を仮にに凍結させ、自由な処分も止めることができます。
ただし、保全手続を迅速に行うためには手間がかかります。
供託所(法務局)に供託するための担保金を用意する必要があります。

訴訟で勝訴判決を得ると、相手方の財産を差押さえて、強制的に回収することができるようになります。

訴訟手続の中で、「和解」という形で解決できる場合もあります。
その場合、和解で決められた金額を、和解で決められた方法により支払ってもらえることとなります。
万が一支払いが滞れば、判決の場合と同じく、強制的に回収することもできます。

時効の完成にも注意

事代金の場合は、2020年3月以前に発生した工事代金は工事終了時から3年で時効になります。
2020年4月以降に発生した工事代金については5年です。

売掛金の場合は、2020年3月以前に発生した売掛金については支払期限から数えて2年、2020年4月以降に発生した売掛金については支払期限から数えて5年です。

時効の完成が迫っているという場合には、時効が完成する前に、時効が完成するのを一定期間猶予させる(時効の完成猶予)とともに、時効の進行をリセットさせて0から進行させること(時効の更新)が必要となります。

相手方に債務を承認させたり、一部を支払わせたり、あるいは、民事訴訟の提起や支払督促の申立てにより、時効を更新させる、つまり、時効の進行を0にリセットさせる必要があります。

内容証明による催促は、法律上、「催告」といい、6か月間だけ時効の完成を猶予させるものです。
催告をしてから6か月以内に、訴訟を提起するなど、時効を更新(リセット)させる正式な手続が必要です。

まずはお気軽に弁護士に相談を

果的な債権回収のためには、ご相談者様や相手方の事情をお聞きした上で今後の方針を決める必要があります。
それぞれの方法にメリットもデメリットもあります。
弁護士に依頼して進めるか、弁護士に依頼せずに進めるのかも含めて、まずは、弁護士に相談して方針を決めることをおすすめします。