デザインコラム 【連載 vol.06】
近年、「ユニバーサルデザイン」が意識されたデザインが増えてきています。
あらゆる人ができるだけ利用しやすい設計のことをユニバーサルデザインと言います。
障がいや性別に関わらず、すべての人が平等な世の中にするために必要不可欠です。これから求められる機会が増えていくと思います。
今回は、ユニバーサルデザインを身の回りの例を合わせてわかりやすくご紹介します。これからのデザインで、新たな視点をご提供できれば幸いです。
ユニバーサルデザインの意味・定義
ユニバーサルデザイン(Universal Design)のユニバーサル(universal)には、「普遍的な、すべてに共通の」という意味があります。この意味の通り「できるだけ多くの人が利用しやすいように配慮がされたデザイン」をユニバーサルデザインと言います。
文化、言語、国籍、年齢、性別などの違い、障がいの有無、体格や能力の違いなどに関わらず、できるだけ多くの人がわかりやい、利用しやすいことを目指した設計のことです。
頭文字をとって、「UD」と表現されることもよくあります。
ユニバーサルデザインの7原則
ユニバーサルデザインをわかりやすくまとめた、7原則があります。
この原則に沿って、身の回りでよく目にする設計の例を見てみましょう。
原則1:誰でも公平に利用できること
身体的、心理的に使う人を限定されず、誰もが公平に利用できることです。
段差がなく広い歩道は、小さい子ども、高齢者、車いすやベビーカーを使用する人など、いろんな人が快適に通ることができます。
自動ドアも誰もが利用できる設計のひとつです。
原則2:使う上で自由度が高いこと
利用者の能力や好みに合わせて、使い方を選べることです。
階段、エスカレーター、エレベーターが設置されていると、利用者が好きな方法を選んで利用できます。
多機能トイレも高さが異なる手すりがあり、利用者の背の高さに合わせて選ぶことができます。
原則3:使い方が簡単ですぐわかること
利用者の知識や経験に違い関わらず、直感的に使い方がわかることです。
押しボタンのスイッチは、使い方が単純で直感的に理解することができます。
原則4:必要な情報がすぐに理解できること
何を伝えているのかが誰にでもわかることです。
駅や電車での案内は、さまざまな言語や漢字、ひらがなの表示方法や、音声アナウンスなどさまざまな伝え方をされています。言語の違いや障がいの有無に関わらず、必要な情報を利用者が理解できます。
何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号のひとつであるピクトグラムも、よく使用されます。
原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること
使用するときに事故の心配が少なく、安全なことです。
電気ポットやファンヒーターのロック機能は、使い方を知らない人が押してしまったり、意図していない時にうっかり押してしまうことで、怪我や事故につながらない設計になっています。
原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
体の負担をかけずに楽に利用できることです。
レバー式のドアノブは、レバーを下げるだけで開閉ができ、握って回さなければならない、握り玉式のドアノブに比べて少ない力で使用できます。
原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
利用するのに十分な大きさ・広さが確保されていることです。
多機能トイレや優先駐車スペースなどは、車いすやベビーカーが入れる広さが確保されています。
バリアフリーとの違い
ユニバーサルデザインとよく似た意味を持つ言葉に、「バリアフリー」というものがあります。
バリアフリーとは、障がい者や高齢者が社会生活を送るうえで、障壁(バリア)となるものをできるだけ取り除こう」とする考え方です。
特定の人を対象に、すでにある障壁を取り除く、障壁とならないように専用に機能をつけるといったような、後からの除去・付加するデザインのことを言います。
もともと段差があった場所に、後からスロープをつけるのはバリアフリーといえます。
それに対してユニバーサルデザインは、「はじめから」あらゆる人が利用しやすい、障壁がないように設計されたデザインのことです。最初から多様な人々の利用を考慮した考え方です。
まとめ
今回は、ユニバーサルデザインについてご紹介しました。
簡単に内容をまとめました。
- ユニバーサルデザインとは、できるだけ多くの人が利用しやすいように配慮がされたデザインのこと
- 原則1:誰でも公平に利用できること
- 原則2:使う上で自由度が高いこと
- 原則3:使い方が簡単ですぐわかること
- 原則4:必要な情報がすぐに理解できること
- 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること
- 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
- 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
- バリアフリーは後から障壁をなくす考え方。ユニバーサルデザインははじめから障壁をないように設計する考え方
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今回ご紹介したユニバーサルデザインは、すべてのデザインで考慮することが大事ですが、多様な人々が利用する公共な場所や、高齢者や障がい者が特に利用する場所などのデザインで必要になってくる考え方です。ぜひ制作に役立ててみてください!
クリエイティブ事業部所属
印刷物からWebサイトなど、幅広い分野でデザインのお仕事をさせていただいております。
【 株式会社SMC-POWER 】
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