令和4年度税制改正 住宅関係の優遇税制の改正による影響

ITに強い敏腕若手税理士のすぐ使える旬な税ニュース【 連載 第12回 】

令和4年度の税制改正により住宅関係の優遇税制の見直しがありました。今回の改正は、制度の適用を考えている方にとっては厳しい内容の改正になりました。今回は、住宅関係の優遇税制で利用者が比較的多い「住宅ローン控除」についてご紹介します。

住宅ローン控除とは、住宅ローン等を利用してマイホームの取得等(新築、取得、増改築等)を行った場合に、一定要件を満たすと個人の所得税から税額控除を受けることができる制度です。

改正前は、住宅借入金の年末残高に対して1%分の税額控除が可能だったのが、改正後は0.7%分となり、控除率が下がりました。
これは、住宅ローン控除の制度の趣旨が、借入金に対する利息の補助を目的とした制度だったことが影響しています。住宅ローンの金利はとても低く、借入金利率よりも控除率の方が高い現象が生じており、支払う利息よりも安くなる税額が上回ることがありました。
そのため、趣旨とは違う目的でこの制度を利用することの防止策として控除率が下げられました。

さらに、適用対象者の所得要件も厳しくなり、改正前は合計所得金額3,000万円以下でしたが、改正後は合計所得金額2,000万円以下でないと制度の適用を受けることができなくなりました。
なお、借入限度額の上限は、カーボンニュートラルの影響があり、長期優良住宅や低炭素住宅、ZHE水準省エネ住宅など、環境に配慮した省エネ住宅ほど、対象となる借入限度額は大きくなるようになっています。税額控除額は、期末の借入金と控除率で計算されるため、結果的に借入金限度額の上限が高い省エネ物件の方が控除できる金額が大きくなります。

ちなみに控除期間は、改正前は10年でしたが、改正後は13年と期間が伸び、いい改正もありました。

今回の改正は、トータル的に見ると改正前よりも厳しくなっております。税制改正は、その時々の経済事情により変化しますので、以前と同じものだと考えず、十分に制度を調べておきましょう。