神経言語プログラミング「NLP」~自分を変えて、相手や世界を変える芸術~

ビジネス こころと体の健康増進室【 連載 FILE 018 】

NLPとは、Neuro Linguistic Programing ニューロ・リングイスティック・プログラミング
(神経言語プログラミング)の略称で、別名「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれる最新の心理学です。
NLPとは以下の3つの頭文字を取ったものです。

  • Neuro(神経):五感、外部からの刺激感受すること
  • Linguistic:表に出る言葉や態度
  • Programing:自分自身にある設定(プログラミング)

これらの要素を独立させ、何か1つをすり換えることで、認識するものや生じる反応を換えていこうとする心理学がNLPです。

1970年初頭のアメリカでは、ベトナム戦争で多くの人が心に傷を負っていました。その際、多くの心理療法家は、苦しむ人がなぜ問題を抱えてしまったのかと、本人の苦しみの「原因」に焦点をあてていました。しかし、なかなか成果が出ません。NLPの共同創始者である心理学部の生徒であり数学者だったリチャード・バンドラーと言語学の助教授ジョン・グリンダーは、3人の天才セラピストを分析することから研究を始めました。
その3名とは「催眠療法家」のミルトン・エリクソン、「家族療法家」のバージニア・サティア、「ゲシュタルト療法」のフリッツ・パールズです。

ミルトン・エリクソンは、精神科医で心理学者として催眠療法を活用しクライアントの悩みや問題の解決にあたりました。
フリッツ・パールズは精神科医であり、精神分析医でしたがドイツのゲシュタルト心理学を心理療法に応用し、ゲシュタルト療法の学派を創設しました。
そして、バージニア・サティアは、心理療法家であり、家族療法の創始者でした。

この3人が行っていた心理療法(アプローチ)はそれぞれ違いましたが、共通して卓越した結果を出し世界的に知られていました。
バンドラーとグリンダーは、3人の天才セラピストを分析する中で、彼らの言葉の使い方や心理的なアプローチを分析し、なぜ優れた結果が出せているのかを紐解いていきました。そして、アプローチの手法と言葉の使い方に大きな秘密を発見したのです。
こうした2人の教授による研究により「人々に効果をもたらす療法」として検証されたものを体系化して、誰にでも使えるようにパターン化したものがNLPです。

今では、クリントン元大統領やアンソニーロビンス氏など欧米のエグゼクティブをはじめ、世界中の様々な分野の第一人者が学んで実践しているそうです。
また、営業・販売・人材育成などのビジネスシーン、医療での患者様対応、スポーツ界でのコーチング、家族関係・恋愛・子育てなど日常でのコミュニケーションにおいても活用ができるといわれています。

人間は、自分が体験した出来事を五感(神経)『視覚、聴覚、体感覚、味覚、臭覚』を通して認識し、言語/非言語によって意味付けを行い記憶として定着させます。
私たちは、生まれてから今に至るまでたくさんの経験や体験から様々な意味付けを行い、自分の考えや思い込みというものを作っていきます。
ある程度の年齢になると考え方や生き方、反応の仕方に一定の傾向やパターンができてきますが、このことをNLPでは「プログラミング」と言っています。
私たちの考えや行動は、様々な経験を通して神経と言語/非言語によってプログラミングされているのです。一度プログラミングができあがると、その後は条件反射のようにパターン化され反応するようになっていきます。パターン化された条件反射の中には、自分にとってプラスの反応もあれば、マイナスに働く反応も出てきます。

私たちの脳は頭に描いている「イメージ(想像)」と五感で認識する「現実」のどちらも、脳の同じ神経回路を使って処理します。そのため、私たちの脳は想像と現実の区別を付けられません。
この脳の特徴を活用し、「イメージ(想像、印象)が書き換わればプログラムも書き換わる」と考えるのです。
例えば、「焚き火=怖い」というプログラムがある人は、その「怖い(プログラム)」に自動的に反応して言動を決めています。怖いものからは遠く離れようとしたり、目を背けたりするでしょう。
しかし、焚き火=「怖いもの」ではなく「楽しいもの」「良いもの」とイメージが変わったら、その人のプログラムは変化します。たとえ焚き火を「怖い」と感じた過去の事実が変わらなくとも、イメージでプログラムを変えることができるのです。

NLPで可能になる4つのこと

1,外的・内的コミュニケーション能力の向上

人間関係を良くすることはもちろんですが、自分との対話が良くなることで、多くの悩み事や課題の解決につながります。
『人生の質は、コミュニケーションの質だ』と、世界ナンバー1コーチと呼び名の高い、アンソニー・ロビンズは言います。

2,目標達成速度の向上

自身の持つプログラムが、制限や問題を作り出すことがあります。思考のクセがこれにあたりますね。
プログラムの書き換えにより、制限や問題に対して適切な対処を行えるようになることで、目標達成を早めます。また、そうすることで、自己肯定感(自分を大切にしたり価値あるものだと感じたりする気持ち)を上げていきます。

3,感情の安定による、思考と行動の最適化

私たちが能力を発揮しようとした時、感情は大きな要因になります。感情が成熟して力になるからです。
「落ち着いていればできるのに・・・」「いつも通りやれれば・・・」と感じたことがあるでしょう。
逆に、難しいと思っていたことも、テンション高く行ったことで達成できたなんてことも体験したこともありますよね。心の状態を自らコントロールすることで、結果の出しやすい状態を手にいれることが可能になるでしょう。

4,コーチング・カウンセリング力の向上

人は誰しもが、勇気を与えたり、癒したりできる力をもっています。
想いをもって人と関わる時に、影響力をもって、より価値ある存在でいたいと思うものですね。
スキルを学ぶことで、より効果的な関わり方を身に付けることが可能になるでしょう。

人間は、五感(視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚)を通して、出来事や体験を認識し、言葉によって意味付けを行います。そして記憶として定着させ、ある年令になった時、一定のパターンができ上がります。例えば、「私は〇〇が得意」「〇〇が苦手」「正しいと思っている考え方」「自分に対する自己評価 」です。このことをNLPでは「プログラミング」と言います。
プログラミングが、一定の思考パターン、行動パターンをつくり手にする結果に影響を与えます。
つまり、私達の思考や行動は、現在にいたるまでの様々な体験を通して、神経、言語、非言語によってプログラミングされていたのです。

一度、自分の生き方のパターン(プログラミング)ができあがると、条件反射のように、同じパターンを無意識にくり返します。
人生で望む結果を手にする人と、そうでない人の違いの裏には、このような理由があったのです。
人の思い込み、思考パターンや行動パターンは、実証済みの効果的な手法を用いることでより良く変えることができます。それは望む成功やゴールに向かい、あなたの思考パターンや行動パターンを最適化していくことでしょう。

私たち人間は、五感(神経)と言語(言葉と態度)を用いて自分と現実とを紡いでいき、自分のルール(プログラム)を構築します。
過去の経験からつくられたこのルール(プログラム)は、意識することなく、本人も知らないうちに、人間の生きる術として作動していきます。
この自ら作り出した「ルール(プログラム)」と「思い描く行動」とのギャップが生じると、それが問題・課題・葛藤となります。私たちの中に、生きていくのに不都合を感じるプログラムがあるのなら、私たちは「書き換えたい」と感じるはずです。NLPは、願いを叶えるための方法の1つです。
うまくいかないルール(プログラム)を書き換えることでギャップを埋め、望む未来を手にいれていきましょう。