AARRRモデルの5つの段階と活用のメリット、ポイントを詳しく解説!

AARRRモデルは、商品やサービスを成長させるために用いられる考え方です。
主に顧客行動を5つの段階に分け、それぞれの段階の課題を分析して改善につなげていくというものです。
インターネットビジネスにおいては、グロースハックを実施する際によく用いられるフレームワークの一つです。

今回は、AARRRモデルの5つの段階と活用のメリットやポイントについて詳しく解説します。

1.AARRRモデルとは

概要

AARRRモデルは、マーケティングの分野でよく用いられるフレームワークの一つで、「アー」と読むことが多いようです。
この言葉は、下記に示す顧客行動を表す5つの段階の頭文字からなっています。

  • Acquisition(獲得)
  • Activation(活性化)
  • Retention(継続)
  • Referral(紹介)
  • Revenue(収益)

この5つの段階ごとに目標や施策を設定して分析し、改善につなげることで商品やサービスの成長を目指します。

AARRRモデルが生まれた背景

AARRRモデルは、2000年代にシリコンバレーのベンチャーキャピタル「500 Startups」の創業者・デイブ・マクルーアによって提唱されました。
2000年代といえば、インターネットの普及が急速に進み、インターネットビジネスによる起業も多様化してきた時代です。
このような時代の動きを大航海時代に例えたため、読み方は海賊の叫び声である「アー」になったと言われています。

インターネットビジネスには不可欠

AARRRモデルでは、商品やサービスの成長に必要な顧客行動を詳しく知ることができます。
前項で述べたように、AARRRモデルはインターネットの普及が急速に進んだ時代に生まれたことから、インターネットビジネスには不可欠のフレームワークです。
相性が良いのは、継続利用が重要なサブスクリプションサービスだと言われています。

2.AARRRの5つの段階

ここでは、AARRRモデルの5つの段階について、ECサイトを例に、それぞれの段階で注目するべき点や行うべき施策について解説します。

Acquisition(獲得)

Acquisitionの目的は、新規顧客の獲得です。
ECサイトの場合は、どこから顧客を獲得しているかに焦点を当て、会員登録者数や広告のクリック回数、サイトの訪問者数を確認しましょう。
そして、SEO対策やランディングページの最適化を行います。

Activation(活性化)

Activationの目的は、獲得した顧客の活性化です。
ECサイトでは顧客体験に焦点を当て、サイトの滞在時間や離脱率、アクティブユーザー数を確認します。
もし会員数の割にアクティブユーザーが少ない、離脱率が高いといったデータが見られる場合、サイトが使いにくいなどの原因が考えられます。
その場合は、UIの最適化を行います。
このように顧客の動きを可視化することで、サイトの改善につなげることができます。

Retention(継続)

Retentionの目的は、顧客がサービスを継続利用することです。
ECサイトでは、サイトの再訪問率やメルマガの開封率を確認します。
継続利用を促すために、キャンペーンを打ったり、クーポンを配布したりする施策を行うとよいでしょう。

Referral(紹介)

Referralの目的は、既存の顧客から新規顧客を獲得することです。
ECサイトでは、紹介数やSNSでのシェア数、レビュー数を確認します。
商品やサービスに魅力があるかどうかは、ここに反映されます。
ECサイトでは、お友達紹介やSNSシェアなどのキャンペーンが有効と言えます。

Revenue(収益)

Revenueの目的は、サービスの収益化です。
購入額や収益率を確認し、収益率を高められるような施策を講じます。
また、ここまでの段階を振り返って、購入に結び付いたと考えられる効果の高い施策があれば、そこにリソースを集中させることも有効です。

3.AARRRモデルのメリット

小さな課題に気づきやすい

先述したように、顧客行動を5つの段階に分けて細かくチェックしていくことで、小さな課題に気づきやすくなります。
そのため、顕在化した課題だけでなく、潜在化した課題へのアプローチも可能になります。

計画的な成長戦略を立てられる

大小さまざまな課題が見つかれば、計画的な成長戦略を立てられます。
これにより、部署ごとの目標が明確になり、それの基づく適切な人材配置、従業員のモチベーションアップにつながります。

4.AARRRモデルの活用ポイント

十分な調査・分析と適切な指標の設定

AARRRモデルでは、5つの段階それぞれで、適切な指標を設定することが肝要です。
指標を適切に設定しなければ、せっかく立てた成長戦略が意味のないものになりかねません。
そうならないために、事前に十分な調査・分析を行い、適切な指標を設定することが大切です。

グロースハックのフレームワークに

グロースハックは、商品やサービスを成長させるために適切にアプローチし、素早く実験・検証を行うことです。
AARRRモデルはグロースハックに適したフレームワーク言われていることから、グロースハックを実施したいと考えている場合は、AARRRモデルを使ってみることをお勧めします。

スタートアップ企業にもお勧め

AARRRモデルは、スタートアップ企業が成長するために用いるフレームワークとしてもお勧めです。
事業を始めたばかりのスタートアップ企業は、一般的に世間にその存在が認知されていません。
その段階から収益化できるまで成長させていくプロセスは、AARRRモデルを活用することでわかりやすくなり、事業を行いやすくなります。

5.AARRRモデルの事例

ここでは、AARRRモデルを活用した事例を紹介します。

Twitter

出典: Twitter

今や世界中の人が知っているSNS「Twitter」ですが、リリースしたばかりの頃はなかなか広まらず、伸び悩んでいたそうです。
原因としては、登録者数はいるものの、ホーム画面が使いにくく、離脱してしまう人が多かったことがありました。
そこで、Activation(活性化)として、ホーム画面を使いやすいようシンプルにしました。
また、Twitterを継続利用している人は平均5~7人をフォローしているという調査結果から、Retention(継続)として、登録する際に5人をフォローする仕組みをつくりました。
これにより、アクティブユーザーの獲得につながりました。

Airbnb

出典: Airbnb

「Airbnb」は、空き部屋を貸したい人(ホスト)と部屋を借りたい旅人(ゲスト)とをつなぐWebサービスです。
新規ユーザーがなかなか獲得できず伸び悩んでいた時に、Acquisition(獲得)として、Airbnbの掲載情報を大手掲示板へ自動転載できるようにしました。
これにより新規ユーザーが大幅に増え、サービス利用者数の増加につながりました。

Dropbox

出典: Dropbox

オンラインストレージサービス「Dropbox」は、現在では世界中の人々に利用されていますが、事業をスタートさせたばかりの頃は、新規ユーザーの獲得に難渋したそうです。
ユーザーを対象にDropboxを利用するようになったきっかけについてアンケート調査を実施したところ、3人に1人が紹介だったことがわかりました。
そこで、Referral(紹介)として、紹介キャンペーンを実施しました。
内容は、紹介したユーザーと紹介されたユーザー双方に、Dropboxのストレージを付与するというものです。その結果、多くの新規ユーザーの獲得に成功しました。

6.まとめ

インターネットビジネスにおいては、商品やサービスを成長させ、その成長を加速していくことが重要です。そうしなければ、競合他社に追い抜かれて多くのシェアを握られてしまいかねません。
AARRRモデルを十分に理解して、ビジネスに生かしていきましょう。