藤田弁護士の法律相談所【連載 第15回】
まずは賃貸借契約を解除する
話し合いでの解決が難しそうであれば、賃貸借契約の解除を考えざるを得ません。
解除が認められるためには3か月以上の滞納が目安となります。
内容証明郵便を送る
未払い賃料の支払いを求めるとともに、賃料滞納を理由に賃貸借契約を解除することを、内容証明郵便を通じて借主に通知します。
訴訟手続きに進む際に証拠として使うことも考え、内容証明郵便を使います。
相手が受け取りを拒絶した場合には、「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げた」として、通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(民法97条2項)。
それでも支払いがない場合は・・・
訴訟と強制執行を視野に、明渡しと賃料回収の準備を進めていく必要があります。
自力救済は禁止されていますので、勝手に鍵を取り替えたり部屋の中に立ち入ったりしてはいけません。
訴訟を通じて、未払い賃料と遅延損害金の支払いと、賃料滞納を理由に賃貸借契約を解除し建物の明渡し、そして、解除後の賃料相当損害金の支払いを求めるのです。
訴訟を提起しても訴状を受け取らない可能性あります。その場合は、所在調査をし、付郵便送達の準備をしなくてはなりません。
答弁書も出さず裁判所に出廷もしないまま判決の日を迎えてしまう可能性もあります。
もちろん、答弁書を出したり裁判所に出廷したりしてきた場合には、和解により、滞納した賃料を分割で支払ってもらったり、任意で退去してもらう約束をしてもらえる場合もあります。
強制執行手続が必要な場合とは?
被告欠席のまま貸主側勝訴の判決が出た場合や、和解にも応じず貸主側勝訴の判決となった場合には、任意の履行が期待できないので、強制執行の手続きに進めることとなります。
賃料については、例えば、金融機関の口座を差し押えて回収することが考えられますが、滞納するような借主ですので口座の残高がないことも多いです。
建物の明渡しについては、執行官とともに物件を訪れ、明渡しの断行の手続きをすることとなります。
まずは弁護士に相談を
このように、賃料の回収、明渡しまでは手間と費用がかかります。
しかしながら、自力救済は許されませんので、任意に退去してくれない場合や連絡が取れない場合は、訴訟を視野に弁護士に依頼して解決を図らざるをえません。
多治見さかえ法律事務所 弁護士
慶應義塾大学経済学部卒業。近くで気軽に相談できる弁護士をモットーに、取引や労務に関する紛争の解決・予防に地域密着で対応中。
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