ITに強い敏腕若手税理士のすぐ使える旬な税ニュース【 連載 第11回 】
今回は、従業員の給料がアップすると税金がお得になる税制のご紹介です。
これは、人材投資について設けられた優遇税制です。
税制の狙いは、積極的な賃上げと雇用の促進です。
中小企業が活用できる制度は、「所得拡大促進税制」と「人材確保等促進税制」の2つです。
所得拡大促進税制は、給与の支給額は前年度よりも増加している(雇用の促進を行っている)のに、ベテラン社員の退職などにより適用要件を満たさなく、場合によっては適用できないという問題点がありましたが、今後は、給与の前年度比増加率1.5%以上あれば適用要件を満たすように改正され、増加した給与の15%を法人税額から控除できます。
さらに、増加率が2.5%以上かつ一定の要件を満たすと、増加した給与の25%を税額から控除できます。
人材確保等促進税制は、今回新設された制度です。
新規雇用者に対する給与が前年度比増加率2%以上の場合に適用が可能です。
新規雇用者に対する年間の給与支給額の15%を税額から控除できます。
例えば、世代交代を進めていく会社であれば、給与が比較的高いベテランの退職に伴い給与が比較的安い新人の採用を積極的に進めることで、全体の給与は前年に比べて下がるけれど、新人を積極採用したことで、新人に支払う給与は前年に比べて上がるケースがあります。
そのような会社にとってはこの制度で税額控除を受けることができます。
なお、教育訓練費が20%以上増加している場合には、新規雇用者に対する年間の給与支給額の20%を税額から控除できます。
注意すべき点は、2つの制度を同時に適用ができない点です。
そのため、自社にあった税制がどちらか有利不利を含めて事前に確認しておくことをお勧めいたします。
SMC税理士法人
大学在学中に税理士を目指し、23歳で税理士官報合格。SMC税理士法人に入社後、税理士登録し、現在に至る。
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