「便利」を疑って、入力を効率化しましょう

IT Trends UpDate 【 連載 Topic 04 】

業種に根付く入力メソッドを打開する

「この業界はいまだにFaxが中心なんだよね」よくお客様から聞かされるフレーズです。

メーカー、卸売業など業種に関わらず受発注のやりとりをいまだにFaxで行い、そこから変化できない方々をこれまでも見てきています。

私もデザイン制作の現場でDTPによるデジタル化が進むまでは、相当なアナログ世界で仕事をしてきました。
デザインの修正も、Faxでやりとりしてよく赤字(修正指示)がわからず、Fax受信後に電話での確認を行うものの修正が漏れた状態で再提示して、よくお叱りを受けたりしていました。

Faxの便利なところは、手軽に送信ができることです。
紙をセットして登録さえしてあれば、ボタン一つで相手先へ送信することが可能です。
受信する側も紙でそのまま出てくるため、PCを立ち上げる必要もありません。
紙で出てくるから、そのまま保管すればストック情報になります(昔は感熱紙の修正指示を保管しておいて、見直したときに消えてしまっていたことを思い出しました)。

送信も受信も、一時的なフロー記録として扱う上ではFaxの有用性は高いと思います。
メールを打って下手にタイプミスするより、手書きで書いてほしいというニーズもあると思います。
また通信手段としての処理スピードに関しても、抜群に速いツールだと思います。

ただし、冒頭で言った「受発注」という観点で見てはいかがでしょうか。

Faxを受け取ってから受注書へ内勤の事務員が入力して、その内容を印刷してハンコをもらってから発注書を作成して、仕入れ先へ送る…などという流れもいまだに会社内で残っていたりしないでしょうか。

「入力が好きな人」はいない

「週末に向けて受注のFaxが大量に届くので、入力作業にかかる人を採用しなくては…」
実際に私のお客様で聞いた話です。
私はその話を聞いた際に「皆さんパソコンが好きなんですね…」と聞きましたが、もちろん返答は「No」です。

大量に入力、ということを私自身も多く経験しています。
なぜなら出版業界にいた時に、多くの図表データを作成したからです。
スタッフの誰もが面倒で嫌がっていました。
紙で原稿があるのに、元のデータはありません。
そういったケースは少なくありませんでした。

唯一救われたのは、その頃にOCR(Optical Character Recognition/Reader、光学的文字認識)が出始めた事でした。
まだ日本語変換は難しい頃でしたが、数字程度なら表組みまで対応できるかぐらいにはなっていました。複合機で連続スキャンしたデータを、OCRから数値を入力して表組みをコツコツ作成した記憶が今でも蘇ります。

今なら、複合機の機種にもよりますが書類をスキャンするとPDFが自動生成され、PDF編集アプリなどでデータを開くとFaxの文字でもコピペすることが可能です。
このOCRの技術をRPAで自動化して発注書へ転記する事ができれば、大量な入力から解放されるはず!です。
実際にFaxから受注を整えるシステムも発売されています。

メーカーなどでは製造現場が注目されがちですが、こうした事務処理の一環をDX化することにより人手不足の軽減も可能です。

Faxは入力の一つですが、今後はいずれ廃れていくことには違いありません。
入力システムの変化についていけない企業には、この先の苦労が伴うには違いありません。
早めにIT化、DX化を取り入れていかないと人手不足の解消にいつまでも対応しなければいけない状況にならざるを得ません。

今行っている業務をいかにIT技術が変わってくれるか、というよりも使いこなして利用するDXに視野を向けて、ドンドン活用していきませんか。