〈消費税のインボイス制度〉
フリーランスや1人親方などの個人事業主の対応は?

ITに強い敏腕若手税理士のすぐ使える旬な税ニュース【 連載 第9回 】

今回は、フリーランスや1人親方などの小規模な事業者がインボイス制度を導入した場合の消費税の申告について説明します。


インボイス制度導入後、取引先との関係から適格請求書を発行するために適格請求書発行事業者として登録し、消費税の申告をしなければならない(消費税を納めなければならない)小規模な事業者が出てくることが予想されます。
適格請求書発行事業者は、得意先から受け取る仕事の対価に対して消費税を上乗せして適格請求書を発行し、毎年ご自身で消費税の申告および納付をすることになります。

そのため、適格請求書発行事業者になった場合には、所得税に加え、消費税の申告も必要になり、申告の負担と税金の負担が増えます。

その場合、納付すべき消費税は、取引先から受け取った対価に係る消費税から、支払った経費の適格請求書の消費税の金額を差し引かねばならず、その計算はとても複雑です。
また、経費が少ない場合には、受け取った対価に係る消費税に相当する金額をそのまま納付することになります。


その負担を軽減したい場合や経費が少ない場合には、消費税の「簡易課税制度」の活用がお勧めです。
簡易課税制度を利用すると、受け取った対価に係る消費税に一定率を乗じた金額が仕入れや経費に係る消費税となります。
そのため、納付すべき消費税は、受け取った対価に係る消費税からこの金額を差し引いた額となります。
このように、売上に係る消費税が分かれば、仕入や経費に係る消費税の実際額を気にせず消費税の申告を行えます。
ちなみに一定率は、卸売業90%、小売業80%、製造・建設業70%、飲食店業60%、サービス業50%、不動産業40%と業種ごとに定められています。

経費がない場合でも、簡易課税制度の利用は可能なため、経費の少ない小規模な事業者にとって、消費税の負担を軽減することができます。
ただし、この制度の適用には届出が必要で、適用後は強制期間があるなどデメリットもあります。
迷った際は、専門家に相談しましょう。