ナレッジマネジメントとは?
意味や目的、種類別ツールを紹介!

1つの会社に長く勤めていれば、上司や先輩から業務のノウハウを受け継ぎ、自分が上の立場になれば、それを部下や後輩に引き継ぐことが可能です、しかし、昨今はキャリアアップやよりよい環境を求め転職することが珍しくなく、ノウハウや知識の伝承が難しくなっています。そこで必要となったのが、ツールを用いたナレッジマネジメントです。
今回は、ナレッジマネジメントについて意味や目的、ツールを種類別に紹介します。

1.ナレッジマネジメントとは

ナレッジ(knowledge)には「知識」という意味があります。ビジネスにおいては、従業員個人や会社が持っている知識、経験、業務に関するノウハウなど、会社にとって有益な知的情報ととらえられています。マネジメント(management)は「管理」という意味です。つまり、ナレッジマネジメントは、「会社にとって有益な知的情報を管理すること」と表現することができます
もともとナレッジマネジメントは、欧米で「情報システムによる知識管理」として広がりました。しかし、現在のように、「言葉や数字で表現しにくい個人が持つ知識」という意味合いになったのは、日本が発端と言われています。

2.ナレッジマネジメントの目的

暗黙知を形式知に変換して共有することがナレッジマネジメントの目的です。
暗黙知とは、個人が持つ経験や直感などに基づく知識、簡単に言語化できない知識のことを言います。また形式知とは、文章や計算式、図表などで説明できる知識のことを言います。
暗黙知を形式知に変換してわかりやすくし、社内で共有することができれば、さまざまな場面で活用することができます。

3.ナレッジマネジメントの活用法

経営戦略の策定

社内のあらゆる知識を収集して多方面から分析することで、経営戦略に役立てることができます。

ベストプラクティスの共有

優秀な従業員のノウハウや行動といったベストプラクティス(効率的な方法)をデータベース化することで、ほかの従業員が効率的に成果を出すことにつながります。

顧客知識の共有

顧客の要望やクレーム、対応などといった情報を共有することで、部署や担当者が変わっても一貫した対応を取ることができ、顧客満足度の向上につながります。

専門知識の提供

従業員個々が収集した専門的知識を蓄積しておけば、ほかの従業員は適時、効率的に活用することができます。

4.ナレッジマネジメントのメリット

業務効率化・生産性向上

ナレッジマネジメントによりあらゆる知識を共有できるため、従業員によって業務の質に差が生じにくく、業務の質を高い状態で維持できます。
また、不明点を自分で解決できること、不要な業務の洗い出しができることから、業務の効率化や生産性の向上につながります。

人材育成の効率化

ナレッジマネジメントを行っておけば、新入社員や初めて業務を行う従業員に教える工程が少なくて済みます。そのため、効率的に人材を育成でき、コストカットも可能になります。

顧客マネジメントの向上

ナレッジマネジメントでは社内全体で顧客の情報も共有できるため、部署が異なっても顧客のニーズを反映した業務を行うことができます。

5.ナレッジマネジメントのデメリット

システム導入に費用と時間が必要

ナレッジマネジメントのシステムを導入するのに、ある程度のコストがかかります。また、従業員個々が持つ知識の洗い出し、体系化、システムの運用・改善を行わなければならず、実用までには時間がかかります。

システム利用の定着が困難

コストや時間をかけて実用にこぎつけても、従業員にシステム利用が定着しなければナレッジマネジメントを活用することは難しいでしょう。システム利用を定着させるには、システムの使いやすさがポイントになるため、従業員に意見を聞きながらシステムを開発していく必要があります。

6.種類別ナレッジマネジメントツール

ここでは、ナレッジマネジメントツールを種類別に紹介します。自社のナレッジをどのように活用するかによって、選ぶツールは変わってきます。

ナレッジの蓄積や共有

flouu

出典:flouu

社内のさまざまな文書や情報をまとめ、業務の効率化を促進するツールです。
形式の異なる文書データは管理が難しく、必要な時に探しても見つからず同じものを作成しまうことがあります。flouuは同時編集機能やラベル管理、添付ファイルの中身も含めた全文検索機能などを備えており、そのような手間を回避することが可能です。
また、ドキュメントと同時にチャット画面を確認することができるため、コメントを見ながらオンライン会議を行うこともできます。

  • 提供会社:プライズ株式会社
  • 価格:30日550円(税込)/人〜
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

Accela BizAntenna

出典:Accela BizAntenna

マニュアルや提案書、手順書、FAQなど繰り返し作成・更新される情報を集積して、ナレッジとして参照しやすいようデータベース化するツールです。
業務初心者でも使いやすいように設計されていることが特長です。コンテンツに業務用語、製品名、トラブル症状などのタグを付与し一覧から絞り込むドリルダウンナビを採用しているため、目的のページを素早く見つけることができます。
また、自動翻訳技術(Google Translation API)が搭載されていることも特長です。そのため、海外拠点から異言語で登録されたコンテンツは自動翻訳され、海外拠点のユーザーとコミュニケーションを取ることができます。

  • 提供会社:アクセラテクノロジ株式会社
  • 価格:問い合わせ
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

DocBase

出典:DocBase

部署や個人が持っている情報を、一元的に管理できるツールです。
文書管理に関する機能が充実していることが特長で、文書にはそれぞれタグをつけ、検索する時間を大きく短縮できます。また、特定のメモを外部と共有することもできます。そして、初めて記事録を書く場合でもテンプレートが用意されているので、簡単に作成することが可能です。さらに、スライドや動画、Googleドキュメントの挿入も行え、グループメンバーに情報を行き渡らせることができます。
社外の人でもグループに入ることができるため、認識の相違や都度メールを送信するといった手間を回避でき、業務の効率化につながります。

  • 提供会社:株式会社クレイ
  • 価格:990円(税込)/月(3人まで)〜
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

Qiita Team

出典:Qiita Team

文書を一括管理し、簡単に情報を共有できるツールです。
文書作成にはMarkdown記法を採用しており、誰でも簡単に、読みやすい文書を作成することができます。Markdown記法をよく知らない人でも、サポート機能がついており安心です。また、チーム専用のフォーマットを作成できるため、誰でも同じ形式で文書を作成できます。
そして階層構造はなく、フォルダで管理するという概念がないため、検索機能ですぐに文書を探し出せます。

  • 提供会社:Qiita株式会社(旧Increments株式会社)
  • 価格:1,520円(税込)/月(3人まで)〜
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

FAQや社内Wikiの作成

Qast

出典:Qast

社内の知識やノウハウをQ&A形式とメモ形式でまとめて蓄積できるナレッジ共有ツールです。
誰でも質問しやすい機能を備えていることが特長で、匿名で質問に答えることもできます。また、質問内容を蓄積することで、同じ質問に答えるという問題の回避につながります。
そして、SlackとTeamsといったコミュニケーションツールと連携しており、ナレッジに特定のスタンプを押すだけでQastに蓄積することができます。これによりマニュアルに書き写すなどの手間がなくなるため、業務の効率化に役立ちます。

  • 提供会社:any株式会社
  • 価格:問い合わせ
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

NotePM

出典:NotePM

社内Wikiとして情報を蓄積しやすいツールであり、閲覧したい情報がすぐ見つけられるという特長があります。また、全文検索機能により、文書の形式が異なっても中身で検索することができます。そして、フォルダ構造のため、簡単に情報を整理できます。
さらに、コメント機能や閲覧履歴の表示といったコミュニケーションに関する機能も充実しており、画面上でタイムリーに質疑応答を行うことも可能です。

  • 提供会社:株式会社プロジェクト・モード
  • 価格:4,800円(税込)/月(8人まで)〜
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

kintone

出典:kintone

従業員個々が持つ情報を見える化する機能と、コミュニケーション機能を備えたツールです。
顧客と案件の進捗を一元管理だけでなく、勤怠管理や交通費の精算もできるという幅の広さが特長です。これにより、複数のツールを利用する手間やコストを削減することができます。スマートフォンでも操作可能ですので、外出の多い従業員とも簡単にコミュニケーションが図れます。
また、自社に合ったシステムを簡単に構築でき、ほかのシステムと連携できることも特長と言えます。

  • 提供会社:サイボウズ株式会社
  • 価格:858円(税込)/月(1人)〜
  • 提供形態:クラウド

Confluence

出典:Confluence

情報を一元化し、組織連携や活発な議論を促進する情報共有ツールです。
共同で文書作成が行えることが特長です。また、さまざまな種類の文書が作成できる上、記事録やトラブルシューティング、製品要件などのフォーマットが充実しています。そして、インラインコメントという機能を備えており、文書にわかりやすくコメントを残せ、返信が来た際には通知で知らせてくれるため、対応忘れを防ぐことができます。
そのほかに情報を一元化する機能として、プロジェクトの進捗報告、社内ブログなどがあります。

  • 提供会社:アトラシアン
  • 価格:無料プランあり(10人まで)
  • 提供形態:クラウド(SaaS)

ヘルプデスクをサポート

Freshdesk

出典:Freshdesk

直感的に利用できる顧客サポートのソフトウエアです。顧客との会話の集約、繰り返し行う単純作業の自動化、他部署などとの連携のサポートといったあらゆる視点で課題の解決を図ります。
特長としては、ヘルプデスクの業務効率化が挙げられます。顧客からの問い合わせへの対応や返信履歴の情報を管理・共有する問い合わせ管理システム、電話、問い合わせフォーム、E-mailなど複数チャネルの問い合わせ内容を一元管理・共有できるカスタマーサポートツールなどを備えています。

  • 提供会社:OrangeOne株式会社
  • 価格:無料プランあり
  • 提供形態:クラウド、SaaS、ハードウェア

情報検索の効率化

QuickSolution

出典:QuickSolution

QuickSolutionは全文検索・情報活用システムです。Webサイト、ファイルサーバ、グループウェアなどを横断して一括で検索することができます。また、画像から文字を抽出して検索(OCR検索)することも可能です
表記ゆれを考慮したあいまい検索、完全一致検索、属性検索が基本ですが、これらを混合した検索も可能で、シンプルかつ直感的に操作できることが特長と言えます。
そして、AI技術を活用しており、ユーザーの行動を学習し、使えば使うほど、検索結果は向上します。

  • 提供会社:住友電工情報システム株式会社
  • 価格:150万円(税抜)〜、問い合わせ
  • 提供形態:パッケージソフト、オンプレミス、クラウド、SaaS

7.まとめ

ナレッジを管理し共有することは、業務の効率化、生産性の向上などのメリットがあり、自社の価値や競争力を高めるには有効と考えられます。しかし、実用までには時間や労力がかかります。その際は、ナレッジマネジメントの目的に応じて、ツールを導入し活用することも一案です。