マーケティングオートメーションでできることは?最新MAツールを比較!

かつて営業といえば、飛び込み営業や顧客先を何十軒も回るなど、数をこなして契約を取る方法が主流でした。
また、リスト作成からアフターフォローまでを営業担当者が1人で行うため、営業成果は個人の能力や経験によるところが大きかったと言えます。
しかし、インターネットが普及した現代では、営業手法が変化しつつあります。

今回は、マーケティングオートメーションでできることや最新MAツールをいくつか比較して紹介します。

1.MAツールとは

概要

MAとはマーケティングオートメーションのことで、MAツールは収益向上を目的としてマーケティング活動を自動化するツールを指します。
リード(見込み顧客)の情報やリードから収集した情報の一元管理、リードの育成、ホットリード(購買意欲の高い見込み顧客)の絞り込みまでを自動的に行うことができます。

また、新規に顧客を開拓するには、リード一人ひとりの興味や関心に合わせて、最適な情報を最適なタイミングと方法で提供する必要があります。
MAツールは、このプロセスにとても役立ちます。

MAツールが広まった背景

インターネットの普及

冒頭でも触れたように、MAツールが広まった背景には、インターネットの普及が大きく関係しています。
インターネットには多くの情報があふれ、顧客は欲しい物の情報を自ら手に入れることが容易な時代です。
そのため競争が激化し、かつての足を使って営業するスタイルでは対応しきれなりました。

そこで求められるようになったのが、顧客の課題やニーズを把握して解決策を提示するソリューション営業です。
個人の能力や経験だけでなく、科学的にアプローチできる手法が必要になったのです。

データベース管理の強化

企業として成長するには、新規の顧客を増やすことは必要不可欠です。
そのためには、リードと商談する場面をつくり出さなければなりません。
そこで、机の中に眠っている名刺を管理したり、セミナー参加者をフォローしたりするため、リードのデータベースを一元管理できるMAツールが注目されています。

マーケティング機能の強化

マーケティング部門を持たない企業は多く、また、あったとしてもホームページの更新に追われ、売上貢献までには至っていないことはよくあります。
しかし、MAツールにより多くの作業を自動化でき、繰り返しの作業から解放されることで、少人数でもマーケティング活動が行えるようになります。

ツールのクラウド化

ITやネットワーク技術が進歩したことにより、ツールがクラウド化され、導入に対するハードルが下がったことも要因の一つと言えるでしょう。
現在では、マーケティングを実現する機能を豊富に搭載したサービスが提供されています。

One to Oneマーケティングの流行

One to Oneマーケティングとは、顧客の購入履歴や行動履歴などからニーズを分析し、それに合わせてマーケティングを行うことです。
MAツールは、これを自動で実現するものとして関心が寄せられています。

2.MAツールでできること

リードジェネレーション

見込み顧客を獲得するプロセスです。
自社の商品やサービスを知らない人を含む潜在顧客の中から、商品などに関心のある人(リード)を抽出します。
具体的な方法としては、広告出稿やWebサイトの運用とSEO対策、セミナー開催などによりリードの情報を獲得します。
そして、この情報をMAツールによりデータベース化します。

リードナーチャリング

見込み顧客を育成するプロセスです。
リードジェネレーションで獲得したリードに対して、購買意欲を高め、商談に結びつける活動を行います。
具体的には、ステップメール(あらかじめ複数のメールを準備しておき、資料請求日などを起点とし、スケジュールに沿って順次配信するメール)やメルマガを送るなどのメールマーケティングを行います。
MAツールは、このような繰り返しの作業を自動的にこなしてくれます。

リードクオリフィケーション

見込み顧客を分類するプロセスです。
リードナーチャリングにより商品などの検討が深まったリードの中から、確度の高いホットリードを分類します。
この時、MAツールの機能の一つであるスコアリング機能を使ってリードの興味を評点し、商談につながりやすいホットリードを絞り込みます。

リード情報の一元管理

メールの開封や未開封、ホームページの来訪履歴など、リード一人ひとりの行動を追跡して、一元管理することができます。
これにより、それぞれのマーケティング施策や全体の収益プロセスなどから効果測定し、素早くPDCAサイクルを回すことが可能です。

3.代表的なMAツールと活用方法

ここでは、代表的なMAツールを紹介します。
それぞれ特徴が異なりますので、自社で使用しているシステムなどと照らし合わせて検討してみてください。

Pardot(Salesforce)

出典: Pardot

Pardot(パードット)は、機能を豊富に備えているだけでなく、カスタマイズ性が充実していることから、世界中で導入されています。

Pardot単体の使用でも多くの機能を使えますが、Salesforceのほかのシリーズと連携することが可能で、これによりさまざまな細かいデータを活用できるのが強みです。

例えば、営業支援(SFA)・顧客管理(CRM)システムのSales Cloudと連携すれば、Pardotで取得したリードの興味や関心といった情報を営業部門で共有し、営業効率を高めることができます。

Pardotと連携できるほかのサービスには、Google WorkspaceやMicrosoft 365などがあります。

Adobe Marketo Engage

出典: Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo Engage(アドビ マルケト エンゲージ )は、アドビが提供しているMAツールです。SalesforceやMicrosoft Dynamics CRMなどの世界的に有名なサービスだけでなく、Sansanやチャットワークといった国内のサービスとも連携可能です。
Adobe Marketo Engageは多機能である上、マニュアルやカスタマーサポートを日本語で利用できるなど、日本の企業にも使いやすいよう配慮されています。

例えば、自社で名刺管理サービスにSansan、コミュニケーションツールにチャットワークを使用している場合は、連携を考慮してAdobe Marketo Engageを検討してみるとよいでしょう。
このほかにも、多くのサービスと連携が可能です。

HubSpot

出典: HubSpot

HubSpot(ハブスポット)は、無料プランがあるため気軽に試すことができ、料金は使う機能とマーケティングするリードの数によりますが、コストパフォーマンスに優れたMAツールと言えます。

その上、機能も充実しています。
HubSpotが提供する顧客紹介マッチングサービス「Sales Hub」やカスタマーサービスソフト「Service Hub」のほか、多数の外部システムと連携することで、営業管理の工数を削減することができます。

連携可能なサービスは、海外システムが中心ですので、海外システムを多く利用している場合は、HubSpotを検討してみるとよいでしょう。

SATORI

出典: SATORI

SATORI(サトリ)は、日本のマーケティングを踏まえた機能を備えた、日本製のMAツールです。
日本は人口が多くないため、リードも少ない傾向があります。
しかし、リードが少ない状況でも匿名ユーザーをナーチャリングしてリードを増やす機能があることが特徴です。

SATORIと連携できる代表的なサービスは、kintoneとSalesforceです。
それ以外は、連携するサービスの形態に応じて対応が必要となり、工数がかかる可能性があります。
システム連携を重視する場合は、ほかのツール検討してみる必要があります。

4.まとめ

インターネットの普及によって消費者との接点が多様化した現代において、リードを獲得し商談までつなげるには、MAツールを活用してリードの行動を可視化し、適切なコミュニケーションを取る必要があります。

ツールによって特徴は異なりますので、導入する際は、自社のシステムや目的に応じて、適切なツールを選択しましょう。