クラウドシステム活用支援で中小企業を支える社会保険労務士法人とうかい

コロナ禍でいち早くオンライン化に踏み切った社労士事務所として、中小企業のDX化やオンライン導入などをサポートする。先の見えないコロナ禍の時代に求められる企業変革とは。社労士として数多の中小企業経営者の悩みを聞き、会社の内部を見てきた久野代表に伺った。

代表 久野勝也
大手百貨店で企業の経営者層を主な顧客とする外商として勤務。在職中に社会保険労務士の資格を取得。独立開業後3年で年に数千万の売上を上げるなど、業界では異例の速度で業務を拡大。4年目に法人化を果たし、2019年5月に名古屋事務所を開設。

業界を知らなかったからこそ達成できた成果

社会保険手続きや給与計算だけでなく、クラウドシステム導入やデジタルデータ活用支援で中小企業を支える社会保険労務士法人とうかい。大手百貨店での会社員を経て、社労士になった久野代表は、他事務所での経験を積まないまま独立。一般的な社労士事務所とは異なる成長を遂げている。

「業界の標準を分かっていないので最初から高い目標を掲げながら、開業当初は一人でがむしゃらに働きました。でも、私は他事務所で経験を積んでいないことが良かったと思っています。良い意味で周りを参考にしなかったですね」

開業5年で年商1億を目指した久野代表。業界トップ3%程度の高い目標設定をしていた結果、現在は年商2億、社員が22人(2021年9月現在)在籍する東海地区でトップ10に入る規模の社労士事務所に成長した。事業拡大と人材獲得を掲げ、2019年に名古屋事務所を開設。しかし、1年もたたないうちに新型コロナウイルスで世の中が一変してしまう。

「初めは、世の中がすごく悪い方に動くだろうと経営に対する不安がありました。しかし、同時にチャンスだとも思って、いち早くZOOMなどを使い一気にリモート化に踏み切りました」

徹底したリモート化は、社労士事務所として生産性を大きく上げる結果につながる。


「我々も生産性を上げないと社員の給料を上げられないですが、以前はお客様との打合せや納品に対する移動時間が全体業務の約2割を占めていた。そういう時間をリモートで削減。生産性が上がった分を社員に還元でき、新たな事業投資もできるように」

社労士事務所のオンライン化は、顧客へのメリットも高い。

「例えば、労使紛争が起きたらお客様とすぐZOOMでつながり、弁護士を同席させることもできる。また給与計算等もオンラインで素早く完結。セミナーも、リモートでは週1回開催できるので頻度を上げてお客様に情報発信ができます」

しかし、リアルだからこその価値もあるという。その棲み分けとは。

「コロナが落ち着いたら実現したいのは、一見“無駄”とされることはリアルで、業務はオンラインというスタイル。例えば、お客様の会社見学をして雑談するだけの仕事はリアル。ただし日常業務は全てZOOM。オンラインをベースとし、リアルで補填するのが大事ですね」

会社に余剰な人員を作れるかが鍵となる

自社の徹底したリモート化という強みを、顧客に還元する形でクラウドシステム導入支援を行っている。そこには「今後の時代」に向けた強い危機感を持つ久野代表の思いがある。

「お客様には、よく時代の変化について話します。昔を遡っても、1900年に馬車が走っていたのに、1913年には新型フォードが街を走っていて13年で大きく世の中が変わった。
スマホの発売が2008年で、同じく13年経ち時代が大きく変化した。しかし、ここから先の13年はそれらのレベルじゃないくらい変わるんです。目の前の業務と自分たちが分かっていることだけにリソースを割いている中小会社は間違いなく長く続かない。
だから、生産性を高めて余剰な人員を出る必要がある。一昔前は、会社に人が余っているのは無駄だと思われていましたが今はその人材を活用して、次のチャンスを担っていかなきゃいけない」

生産性を上げるためには社内の人事・労務作業を見直すことも求められる。中小企業においては「うちには関係ない」と考えてしまいがちな「デジタル化」の必要性についても、今から始めるべきだと話す。

「デジタル化によって社内データを蓄積できると、人材資源の最大化ができます。社員がどんな資格や経験、知識を持っていて、どう活用できるかなど、将来的にはAIを使い、誰がこの仕事にマッチしているのかが分かるようになると思います。しかし、その土台がないと戦えないので、今のうちから始めておく必要がありますね」

デジタル化の波とコロナ禍をきっかけに、時代の速度感が大きく変わっていると久野代表は続ける。

「これからは、突然はしごが外れる事態が起こる時代に来ている。業種によっては、ある日とつぜん無くなります。希望的観測だけで“こうなったらいいな”と仕事している人と、“これは当然の時節だ”と考えている経営者では会社の空気が全く違う。それはリモートでも分かりますね」

最後に、久野代表に今後の展望を伺った。

「持続的成長企業、つまり会社と働く社員が成長し続けることがすごく大事だと思っています。会社を継続する力は持ちつつ、業績を伸ばし、社員の能力を伸ばすことが企業に求められる新しい価値観。そういった会社を増やすために、我々がしっかり支援していきたいですね。中小企業の伸び代は、まだあるはずです」

【今回の取材先】
社会保険労務士法人 とうかい
所在地:[名古屋事務所]名古屋市西区牛島町5-2 名駅TKビル5F
    [多治見事務所]岐阜県多治見市太平町6-19 SMCビル401
創業:2011年11月
URL:https://www.tokai-sr.jp/

(取材・文:笹田理恵 /編集:OHACO編集部)