ユーザーのニーズやリアルな声をそのまま商品に落とし込み、日々改良しながら作り上げられている猫壱の商品。
ユーザーとコミュニケーションから信頼を獲得し、ロングセラーになっている3大ヒット商品人気の秘訣を竹内淳代表にお聞きしました。ユーザーの声を徹底的に生かすSNS活用術や竹内代表が考えるちょっと先の未来を読み解くための2つの習慣もご紹介。
猫壱3大ヒット商品紹介
① 猫の食生活を見つめるところから誕生した 「ハッピーダイニング 脚付きフードボウル」
猫と暮らす飼い主さんから頂く声をベースに徹底的にリサーチ。理想の猫の食事姿勢、身体的特徴を見つめ、素材、デザインが考えられた商品。
●お皿の縁についたかえしが食べこぼしを防ぐ
●すべりどめ付きで、元気に食べる猫でも動きにくい
●磁器製食器のため、電子レンジ&食洗機使用OK
猫専門メーカーだからこそ作れる「猫工学デザイン」
猫の食道は比較的まっすぐという身体的特徴があります。
そのため、低い位置に食器を置くと頭が胃より下になるため、食道にたまった食べ物が逆流しやすい状態で食事をすることに。
食器を脚付にすることで、逆流を防ぎ、吐き戻しを軽減する「猫工学デザイン」。
② 猫が入りたくなる「爪とぎ用ベッドバリバリボウル 猫柄」
爪とぎダンボール部分は、猫のやわらかいカラダにフィットするすり鉢構造で、寝心地抜群。
猫に欠かせない爪とぎだからこそ素材にこだわり、紙100%のダンボールを使用し、接着には植物由来ののりが使用されている爪とぎベッド。
まんまると丸くなってくつろぐ猫ちゃんの姿はSNSでも大人気
#バリバリボウル 投稿1万件超え!!
クレームを隠さないことが、信頼につながる
発売当初、バリバリボウルに猫が飛び乗った際、バラバラになってしまったというクレームが。
そういった声を隠さず「このような事例があったので気を付けてください」と発信して、改良する旨も伝えたところ、「そういうことも隠さずに言ってくれるんだ」とユーザーから多くのお褒めの言葉をいただいたというエピソードも。
ユーザーのネガティブな意見と改善策をまとめた猫壱ブログ記事はこちら
③ 刃物の街・岐阜県関市で作られた「ストレスなくスパッと切れる猫用爪切り」
猫の世話で一番大変なことに「猫の爪切り」と答えるユーザーは多く、自分でできないため動物病院でやってもらう人もいるほど。
ユーザーのアンケート結果を元に開発し、猫にも飼い主にとってもストレスの少ないものをと開発された猫用切り。
ユーザーのアンケート結果を元に開発
○ユーザーの声
・猫の爪は細くて繊細。血管を切らないように、刃をあてる位置には気をつけています。
→刃の厚さ1.5mmで、切る位置を定めやすく!
・手が滑って切る位置がずれてしまう
→手から滑り落ちないように、ハンドルはエラストマー素材を採用
・大切な猫の爪を切るものだから高品質じゃないと心配
→品質・精度・機能性を追求して日本製に
ユーザーの声を徹底的に生かす!猫壱流SNS活用術
公式Instagramのフォロワー数が、63,000人(21年7月現在)を誇る猫壱。
毎月、写真投稿コンテスト #猫壱キャンペーン を行っており、対象商品を使う愛猫の写真を投稿する企画を行っています。
コンテスト受賞者には、好きな猫壱商品をプレゼント。投稿を猫壱がこまめにリポストしているので、キャンペーンの盛り上がりが可視化されています。
「#猫壱アンケート」で集まったコメントは、最高で約1,500件!
開発中の商品アンケートも実施。今年5月に投稿された「クリスマス限定商品」のデザインアンケートでは、柄のアイデアを3つシェアして、フォロワーにコメントで回答してもらいました。
この投稿に集まったコメントは、なんと1,173件!
竹内代表が考えるちょっと先の未来を読み解くための2つの習慣
① 未来の情報収集
未来の情報収集を習慣にしています。昔は30年後を考えましたけど、今は変化が早いので5年先が基準です。5年後どんな世の中になっているかの情報をたくさん集め、それを元に何が起こるかを感覚的に理解しています。(竹内代表)
■2012年事例
・今後ネット通販が伸びるだろう
・発送個数が増え、物流費が上がっていくのでは
・物流費が上がると大きい商品を作ると利益を圧迫する
そこで誕生したのが猫用爪切り!
② 自分自身が消費者になりきる
いろいろな店を見て、様々な商品を使い、他社のマーケティングを体験します。そこから気付くことが一番多いし、消費者になることが重要だと思います。
普段もコンビニで何かを買いながら「どうしてこれを買ったんだろう」という消費者視点を忘れずに自分自身を観察しています。(竹内代表)
■Instagramの動向
・仕事以外のアカウントで、いろいろな人をフォロー
・以前は「憧れの人」をフォローするのが当たり前だった
・「憧れ」=広告っぽさ、作りものに感じる風潮に変化
そこで変化したのがフォロワーにとっての猫壱
「憧れのブランド」から「共感し応援してもらうブランド」へ
【今回の取材先】
株式会社猫壱
所在地:東京都新宿区西新宿6-15-1 セントラルパークタワー ラ・トゥール新宿605
設立:2008年1月
年商:15億円(2020年度)
従業員数:9名(2021年7月現在)
URL: https://www.necoichi.co.jp/
(取材・文:笹田理恵 / 編集:OHACO編集部)
編集者・ライター
ビジネスメディア『OHACO』の特集企画・取材を担当。アパレルデザイナーという異業種からライター・編集者に転身。得意なジャンルは、企業取材、環境活動・SDGs、ファッション産業など