年々ニーズが拡大するEC市場。特にコロナ禍をきっかけに、世代を問わずネットショッピングが当たり前となり、商品の独自性や企画の差別化がより必要な時代になりました。
通信販売会社のドリームは、約30年前に創業してすぐに卸問屋のビジネススタイルからオリジナル商品の企画開発にシフトチェンジ。今ではメディアでも頻繁に取り上げられ、ユニークなヒット商品を連発するドリームについて広報の香庭美也子さんに話を聞きました。
—大橋代表は、1990年に一人で通販向け事業を始められました。自社開発のオリジナル商品を作るきっかけを教えてください。
ドリーム創業時は卸販売をしていましたが、「商品を仕入れて、利益を乗せて売る」というビジネススタイルに「自分らしさが無い」という疑問を感じ、そこからオリジナル商品の企画・開発に切り替えました。創業から3年、最初に作ったのはシルクの水虫対策靴下。当時はカタログ通販の全盛期で、人には言えないお悩みグッズが非常に人気でした。
—今やオリジナル商品のユニークさ、幅広さ、説得力で多くのマスメディアに取り上げられています。専門家との共同開発もドリームの特徴ですが、いつ頃から始められたんですか?
開発商品を始めてまもなく補正下着が大ヒットしました。これは大橋が、雑誌に掲載された整体師の記事を読んで「この理論を下着にしたらいいのでは」と思いついたそうです。そこで自らアポイントを取り、共同開発した商品がヒット。その時に、お悩み解決商品に必要なのは「専門家の説得力と信頼感」だと気付き、これを主軸にしていこうと決めました。ですので、ドリームの商品には全て専門家をつけることが大前提になっています。
—今は特に専門家の監修が欠かせない時代になっていますが、約30年前から先駆けて専門家と一緒にものづくりをされていたんですね。
そうです。当時はとても新しいコンセプトだったと思います。こうした実績を積み重ね、2011年には「プロイデア」というプロのアイデアを生かした商品づくり、専門家と共同開発するブランドを立ち上げ、ドリームの基幹ブランドに成長しました。
—専門家と共同開発するための労力も必要だと思うのですが、苦労などもありますか?
専門家の理論にそぐわない場合や開発途中で頓挫してしまうケースも多くあります。専門家のOKを頂くまで何度もトライするのですが、どこまで時間をかけるかの判断は悩ましいですね。
—著名な専門家やプロスポーツ選手とコラボされていますが、どのようにつながりを作っているのですか?
大橋が雑誌で見てアプローチした頃と変わらず、書店を巡って売れている本をチェックして著者へ連絡したり、スクールやセミナー、整体院に通ってみたり、地道につながりを作っています。実際に体験してみないと「この人と一緒に仕事をしていっていいのか?」という判断が難しくなるので、企画者が足を運ぶようにしています。
—企画者がユーザー目線で専門家を探して、アプローチしているんですね。社内の企画の流れを教えてください。
ドリームは「企画営業」という職種がメインで社員の半数を占めていて、商品企画と商品を売る営業を同時にやっています。自分で作った商品を自分で売るんです。
共同開発実績例
元スピードスケート選手の清水宏保さん
元プロテニスプレーヤーの杉山愛さん
コメディアン・落語家の山田たかおさん など
全ての商品はここから生まれる
ドリーム商品化の道「デビュー会議」って!?
Step1 企画伺い
自分で考えた商品資料を共有・プレゼン
Step2 企画デビュー
商品サンプルを作るための判断し作品を作成
Step3 経過報告
試作品を実際に使ってレビュー
Step4 量産デビュー
通過できたら、ようやく販売に向かえる!
評価基準
わくわく度…本質的な感情でわくわくするか、見た目のユニークさ、面白いアイデアかどうか
なるほど度…理論やメソッドがどのように生かされているのか
あい(愛)度…ストーリー(専門家・当事者の思い)や社会的に与える影響、ユーザーの悩みを解決できるのか?
発想力を育み、ユニークな企画を出すための人材育成とは
毎年行われる夏と冬の1泊研修(現在はZoomで開催)は、社員の中からやりたい人が立候補して企画・運営している。
経営層が指示をするわけではなく、ホテル・交通機関の手配、研修企画、専門家のオファーまで全て社員に任せて実行。予算管理から収支報告も担当メンバーから全社員に共有している。こういった研修の「企画」を通じて社員の自主性やセルフマネージメント力が育まれている。
今回の取材先
株式会社Dream
所在地:名古屋市東区徳川町403I・C・C クオリアビル
TEL:052-930-6021
創業:1990年6月
売上高:20億円
従業員数:71名(2021年6月)
URL:https://mydream.co.jp/
(取材・文:笹田理恵 / 編集:OHACO編集部)