BIツールとは?基本的な機能や種類、活用例をわかりやすく解説

企業には、あらゆるデータが大量に存在し、これらのデータをうまく活用すれば、作業の効率化や売上アップにつながる可能性があります。
しかし、データの収集や分析、レポート作成には多くの労力や専門的な知識が必要です。データが古くなっては活用できないため、データ分析はリアルタイムで行う必要があります。

今回は、データの収集・分析などに役立つBIツールについて、基本的な機能や種類、活用例をわかりやすく解説します。

1.BIツールとは

BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)ツールとは、企業にある大量に蓄積されたデータから必要なものを収集して分析し、視覚的にわかりやすく表示するツールのことです。

最近は、ITビッグデータを活用する企業が増えています。
しかし、ビッグデータの量は膨大で、保存場所やシステムが分かれていることが多く、従来の表計算ツールでは不正確になったり、データ分析の専門的な知識が必要になったり、時間がかかりすぎて完成する頃にはデータが古くなったりしてしまいます。

このような課題を解決し、経営の意思決定を助けるために生まれたのが、BIツールです。

2.導入するメリット

①社内データの管理のしやすさ

幹となる業務システム)から分析に必要なデータを抽出して加工し、分析用データベースに格納するETL(Extract〈抽出〉、Transform〈変換〉、Load〈格納〉の略)機能を備えているBIツールもあります。

このような機能により、Excelなどで管理されていたデータが統合され、活用しやすくなります。さらにデータが集約されることで、部署ごとの状況がまとめて可視化され、わかりやすくなります。

②レポート作成の手間を軽減

レポート出力・デザイン機能があるため、これまでExcelやPowerPointなどにより手作業で行っていた集計やレポート作成を、グラフを用いて視覚的にわかやすく、素早く行うことができます。
これにより、日々のルーチン作業の手間を大幅に削減することができます。

③迅速な課題解決・経営判断

BIツールによる分析結果は、スマートフォンなどのモバイルデバイスからアクセス・確認できます。日々、慌ただしく動く経営者にとって、移動時間や隙間時間に情報を確認できることは、迅速な課題解決・経営判断につながり、大きなメリットとなります。

また、配信機能やアラート機能があるため、意思決定のスピードアップ、正確な判断が可能です。

3.基本的な機能

①データ分析

データベースを直接操作するためには専門的なスキルが求められますが、データベースに適切に接続されていれば、その必要はありません。
BIツールは、基幹システムなどから分析用データベースのデータを集約してくれるので、誰でも最適な分析結果を得られます。

②レポート出力・デザイン機能

定型レポートや非定型レポートの出力機能、OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)レポート機能といったレポート出力機能があります。

Webレポーティングに対応しPDF、Excel、Word、PowerPoint、CSVなどへのエクスポートが可能です。
また、レポートの表示画面や印刷する帳票をデザインする機能もあります。

③ダッシュボード機能

ダッシュボード機能により、分析結果を視覚的にわかりやすく表示することができます。また、グラフや重要指標の一覧表示、クロス集計表などの表示が可能です。

情報のリアルタイムな確認と分析データの可視化により、素早い状況把握や業務改善などのスピードアップに役立ちます。

④モバイル対応

BIツールでは、モバイルデバイス用のアプリが提供されており、スマートフォンやタブレットなどで分析データを確認できます。パソコンで作成したレポートを閲覧できる機能やディスカッション・レポートの配信機能、アラートの設定機能などを備えた製品もあります。

4.主な種類

BIツールは主に、レポーティングツール、OLAP分析ツール、データマイニングツール、プランニングツールの4つに分けられます。

①レポーティングツール

日々蓄積されるデータを監視し、何らかの異常が発見された場合に知らせてくれます。BIツールは処理速度が速いため、問題が発生する前に原因を発見しアプローチすることができます。

ビジネスは常に目まぐるしく変化しており、予想外の問題が起こることもあります。レポーティングツールは、そのような事態を回避するのに役立つツールと言えます。

②OLAP分析ツール

一方、起こってしまった問題を分析して、原因を洗い出すのがOLAP分析ツールです。問題を分析し、深掘りしていきます。

すべての問題を完璧に回避できることは理想ですが、実際はかなり難しいと思います。そのため、起こってしまった問題の原因を突き止め、その後の経営に生かしていくことが大切です。

③データマイニングツール

蓄積された過去のデータを基に、新たな施策のヒントを提案してくれるツールです。
さまざまなデータから、新たな関係や傾向などを探して分析しますので、新しいアプローチによりサービスを展開したい場合に最適なツールです。

④プランニングツール

経営者が行う予算編成に役立つツールです。過去データの分析やシミュレーションを行い、予算計画などに活用します。

5.BIツールの活用例

①レポート作成などにかかる工数の軽減

A社では、Excelを使用して手作業でレポートを作成したため、多くの時間と人員が必要でした。
月次レポートの作成に毎回1人10日間かかっていましたが、BIツールの導入により、1人1時間で完了できるようになりました。
定期的なレポートのほかに、必要に応じて行う分析もしやすくなり、分析の実施頻度が増えました。

②海外どこからでも情報共有

B社は、モノづくりの事業をしており、海外にも進出しています。
データの参照や分析にはExcelを使用しているため時間がかかり、メンテナンスも特定の従業員が担当していたため、その従業員の負担は大きくなっていました。
また、言語が異なる海外拠点では、プログラミング言語がうまく機能せず、ファイル共有によるデータ活用はできていませんでした。

BIツールの導入により、海外環境でのプログラミング言語の問題が解決され、世界中どこでも同じデータを見る環境を整えることができました。

③人事情報を集約して面談を効率化

C社は従業員を多く抱えていますが、人事担当者の人数は少ないため、面談前に従業員1人の情報を整理・把握するのに約10分、全員の面談が終了するまでに半年を要していました。人事情報を統合するツールはなく、情報収集にかかる手間と、その作業の属人化が課題でした。

BIツール導入により、社員番号を入力すれば人事情報が表示されるようになったため、情報収集にかかっていた時間を半分に短縮できました。また、面談の効率化にもつながりました。

④マーケティングへのデータ活用

D社では、見込み客の獲得が案件化・受注につながった割合を分析しマーケティングに生かそうと、顧客管理ソリューションを導入していました。
しかし、標準のレポート機能では実現できず、必要なデータを抽出してExcelでレポートを作成していたため、大きな作業負担になっていました。

BIツールを導入したことで作業負担の軽減、現状の可視化が可能になり、市場変化に素早く対応ができるようになりました。
また、マーケティング部門や営業部門が、そのデータを基に営業活動の視点を共有し運用できるようになりました。

6.まとめ

蓄積したデータを活用するのに、BIツールはとても重要ですが、闇雲に導入してはかえって混乱してしまう可能性があります。
自社の現状を把握し、問題を解決するために可視化したいデータの対象、分析したいことを明確にします。その上で、必要な機能を備えたBIツールを導入することが大切です。