「ハロー効果」~イメージ戦略を有効に使いましょう~

ビジネス こころと体の健康増進室【 連載 FILE 015 】

「ハロー効果(halo effect)」とは、ある人物・物事を評価する時に「分かりやすい目立つ特徴」に引きずられて、その特徴以外の要素まで同じように評価してしまう認知バイアスのことです。

「試行錯誤説」で知られるアメリカの心理学者エドワード・ソーンダイク(1879年~1949年)が、1920年に書いた論文で「ハロー効果」という言葉を使ったのが始まりとされています。

ハロー効果の“ハロー(halo)”は、英語で「こんにちは」を意味する“hello”ではなく、神仏やキリストの頭部・背景に描かれる「後光(ごこう)・光背(こうはい)」を意味しています。
「後光」は人物そのものではなく背後から輝いているように見せてくれる光です。
その「後光の特徴」によって、その人がまるで「神様や仏様のように神聖で優れた存在」のように見えてしまう、これがハロー効果です。

つまり「ハロー効果」では、「目立つ特徴」が優れていればそれ以外の要素(全体)も優れていると評価されやすくなります。
「目立つ特徴」が優れている場合のハロー効果を、「ポジティブ・ハロー効果」といいます。

ポジティブ・ハロー効果とは人材評価を行う場合に、相手の特定の能力や利点、肩書に影響されて、別の部分もそれにつられて高く評価してしまう現象のことです。

具体例を挙げると、「笑顔で明るく挨拶ができ、見た目が清潔できっちりしている人は、きっと仕事ができる優秀な人材だ」と判断するケースです。笑顔や挨拶、見た目の清潔感と、仕事ができるかどうかは関連しないはずなのに、「きっと仕事もできる」と思ってしまうのです。
コマーシャルで好感度の高い俳優や有名人を起用するのは、俳優や有名人の良いイメージに引っ張られるポジティブ・ハロー効果を狙った合理的な宣伝方法なのです。

ポジティブ・ハロー効果とは人材評価を行う場合に特定の能力の評価が高いと感じたとき、別の効果もそれにつられて高く評価してしまう現象のことです。

反対に「目立つ特徴」が劣っていれば、それ以外の要素(全体)も劣っていると評価されやすくなってしまいます。これを「ネガティブ・ハロー効果」と呼んでいます。

ネガティブ・ハロー効果とは、「挨拶の声が小さく、見た目もだらしなく感じが悪い第一印象だと、『この人、仕事ができなさそう』とマイナスなイメージで評価しやすい」などと判断することです。
スーツがヨレヨレで愛想が悪いセールスマンに製品を紹介されても、ネガティブな第一印象に引きずられて製品の品質すらも悪く感じてしまう傾向があります。
逆に同じ製品でも、店員の対応が良ければ、良い印象の店員がいる店で購入したいと考える人も多いのではないでしょうか。

その他にも海外でこんな実験がありました。

ホームレス風の男性が道端で倒れた場合と、スーツ姿の人が道端で倒れた場合で通りゆく人たちの反応を見る実験です。

ホームレス風の人が倒れても5分以上放置されてしまいました。

しかし、スーツ姿の人が倒れていた場合は、すぐに道行く人が助けてくれたとういう結果でした。

人を助けるという行為自体は同じなはずです。
しかし、ホームレスの人を見たときに人々は、

「仕事もしないでプラプラしているのは恥ずかしいことだ」「服も汚れてだらしない恰好をしている」「倒れている人はろくでもない人だ」などという印象で、助けることが遅れたのです。

自分では冷静に判断できていると思いがちですが、人は簡単に周辺情報を元に、対象の見え方を変えてしまいます。

成長している大企業のイメージは、ポジティブハロー効果によって好感度は一層上がる状態になります。万が一不祥事が発覚してしまうと、そのギャップで悪い印象がより深くなってしまうのです。

無理にいい人を演じたり、自分の趣味嗜好とかけ離れた格好をしたりしていては、自分がつらくなってしまいますし長続きはしませんよね。
あくまでも今の自分にプラスアルファくらいの気持ちでハロー効果を活用してみましょう。

ハロー効果は短期間のものです。
第一印象の心理効果と言っても過言ではありません。

ハロー効果の心理バイアスにひっかからずに多角的に相手を見定め、自身は適度にポジティブハロー効果を活用して印象を上げていきたいですね。

仕事での評価向上や、セルフプロデュースにも活かしてみましょう。