自社サービスや商品の宣伝や販売、集客などを効果的に行うために、「Webサイトを構築したい」「アプリを開発したい」と思っても、プログラミングの知識がないとなかなか難しいものです。
また、外部に依頼するとコストがかかります。
今回は、プログラミングの知識がなくてもWebサイトの構築やアプリ開発が可能な「ノーコード」について解説します。また、ノーコード開発に使えるツールについても紹介します。
1.ノーコードとは
ノーコードとは、ソースコードを入力しなくてもWebサービスやアプリなどのソフトウェアを開発できるサービスです。ソースコードとは、プログラミング言語で書かれたコンピュータプログラムを表現する文字列のことを言います。
つまり、プログラミングなどの専門知識がなくても、ノーコードツールを使えば、誰でも簡単にWebサービスを開発できるというわけです。
ノーコードツールでは、既に作成されたパーツやテンプレートをドラッグ&ドロップしてWebサービスを開発していきます。
このため、イメージしていたWebサービスとの乖離が生じにくくなります。
また、プログラミング言語の入力が不要であること、開発したWebサービスを実行する環境が整っていることから、素早くサービスを提供できるという特徴があります。
2.メリット
専門知識がいらない
先述したように、プログラミング言語の入力や専門知識が不要なため、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で、誰でも簡単にWebサービスを開発できます。
コストを抑えられる
社内でWebサービスを開発した場合、その分の人件費がかかります、また、外部に依頼した場合は外注費がかかります。しかし、ノーコードツールであれば、無料で使えるものもあり、コストを大きく抑えることができます。
時間を短縮できる
こちらも先述したように、プログラミング言語の入力が不要で、Webサービスを実行する環境が整っていることから、サービス提供開始までの時間を短縮することができます。
3.デメリット
差別化ができない
すでに作成されたパーツやテンプレートを使用するため、ほかとの差別化ができない点が挙げられます。また、プログラミング言語を使用したWebサービスに比べてデザインの自由度が低いため、カスタマイズしにくいこともあります。
デザインで差別化を図りたい場合は、「ローコード」という方法を検討してみましょう。ローコードとは、一部だけソースコードを入力して、デザインなどをカスタマイズする方法です。ローコードではプログラミングの知識が必要になりますので、ご注意ください。
ツール提供元に依存する
コストやサービス提供の可否は、ツール提供元によって左右されます。コストを上げるとなれば支払わなければなりませんし、サービスを終了するとなれば、開発したWebサービスも終了せざるを得ません。ほかのツールに乗り換えるにしても、パーツやテンプレートは同じではありませんので、そのまま移行することは簡単ではありません。
複雑な開発は難しい
ノーコードツールは、シンプルな機能のWebサービス開発は可能ですが、大規模で複雑なWebサービスの開発には向いていません。自社独自の機能を組み込みたい場合や、複雑な動作が多いアプリを構築したい場合は、ほかの開発方法を検討する必要があります。
4.ツール選びのポイント
利用目的
1つのノーコードツールで、あらゆるWebサービスを開発できるわけではありません。Webサイト構築、アプリ開発、ECサイト構築など、利用目的に応じて選ぶ必要があります。まず、どのようなことをしたいのかを明確にしてツールを選びましょう。
料金
無料プランや無料トライアル期間を設けているツールがありますので、まず使用感を試してみるとよいでしょう。また、ノーコードツールは海外製のものが多いので、料金体系を確認しておくことも大切です。
対応デバイス
開発したWebサービスをユーザーにどのような場面で、どのようなデバイスで使用してもらいたいかを考えましょう。そして、導入するツールがそのデバイスに対応しているかを確認することが必要です。
5.利用目的別ノーコード開発ツールの紹介
ここでは、ノーコードツールを利用目的別に紹介します。
アプリ開発
〈Bubble〉
Bubble (バブル)は、幅広い目的のWebアプリの開発に対応しています。ドラック&ドロップといった簡単なマウス操作で、視覚的・直感的に作成することが可能です。
UIを細かく設定できるため、Webアプリをイメージどおりに作成できます。
〈Glide〉
Glide(グライド)は、Googleスプレッドシートをデータベースとし、簡単にアプリ開発ができるツールです。料理レシピなどのコンテンツ制作、モバイルアプリの開発に向いています。
テンプレートが豊富に用意されていることが特徴で、ツール上でアプリをカスタマイズすることも可能です。
〈Adalo〉
Adalo(アダロ)は、あらかじめ用意されたパーツを組み立て、必要なテキストを入力するという簡単な作業でアプリを開発することができます。また、UIを細かく調整することが可能なので、自分好みのアプリを作ることができます。
そして、ブラウザで使用するWebアプリだけなく、Google PlayやApp Storeでダウンロードできるネイティブアプリも作成可能できることが特徴です。
Webサイト作成
〈Webflow〉
Webflow(ウェブフロー)は、カスタマイズ性の高いWebサイト作成ツールです。ノーコードでもWebサイトを作成できますが、HTMLやCSSのソースコードでも出力することができます。
AWS(アマゾンウェブサービス)やカート機能など、ECサイト構築に必要な機能を搭載しています。サポートは英語のみであることに注意が必要です。
〈STUDIO〉
STUDIO(スタジオ)は、ドロップ&ドラッグの操作でWebサイトを作成し、ワンクリックで公開することができるツールです。機能に制限はあるものの、無料で使うことができます。
また、デザイン性に優れ、日本語のフォントを豊富にそろえています。そして、複数人で共同編集することが可能です。
〈Wix〉
Wix(ウィックス)は、ドロップ&ドラッグの操作でWebサイトを作成することができます。テンプレートの種類が豊富で、プロのデザイナーが制作したテンプレートを無料で利用することができます。
有料ですが、ECサイトの開設や受注管理、商品管理などの機能を追加することができます。
ECサイト構築
〈Shopify〉
Shopify(ショッピファイ)は、ECサイト作成ツールで、ネットショップに特化しています。そのため、ネットショップの開設や管理などに必要な機能を備えています。海外のツールであるため、サポートは基本的に英語ですが、日本語専任サポートもあります。
〈STORES〉
STORES(ストアーズ)は、テンプレートを選び編集すれば簡単にネットショップを開設できる、ECサイト構築プラットフォームです。電子チケットの発券・販売、定期販売などの独自機能を備えています。
データベース系
〈Airtable〉
Airtable(エアテーブル)は、クラウド型のWebデータベースを構築できるツールです。ExcelやGoogleスプレッドシートを利用して簡単にデータベース化できます。これにより、データの可視化やタスク管理、チームマネジメントを行い、業務の効率化を図ることが可能です。
iPaaS系
〈Zapier〉
Zapier(ザピアー)は、外部の複数のサービスと連携して業務の自動化を実現するiPaaS(Integration Platform as a Service)系のツールです。具体的には、Googleドキュメントやスプレッドシート、Slack、Twitter、Dropboxなど2,000以上のアプリに対応しており、これらを組み合わせて、日々の単純作業を自動化することができます。
6.まとめ
専門知識やコストの有無の関係でWebサービスの開発をためらっていたのであれば、ノーコードツールを導入することで解決するかもしれません。何のためにWebサービスを導入するのか、何をしたいのかを明確にし、適切なツールを選んでチャレンジしてみましょう。
編集者・ライター
フリーの編集者。書籍や情報誌などのデザインを携わる。主に看護・介護業界の情報誌の編集に携わり、グルメ・カルチャー・スポーツのジャンルの編集の経験あり。