SNSを利用するユーザーは今もなお増加しており、年代も広がってきています。Web広告にくらべ気軽に着手できるSNS広告は中小企業でも導入しやすく、今最も注目される広告媒体です。
ここでは、SNS広告の特徴やWeb広告との違いを解説し、代表的な4つのSNS広告の種類とそれぞれのメリットやデメリット、費用対効果についてもわかりやすく説明します。最後にSNS広告を出稿する際のポイントについても触れます。
目次
1.SNS広告とは
SNS広告とはWeb上のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に出稿する広告のことを言います。Instagram やTwitter、FacebookといったSNSを利用している、ある特定のユーザーに少ない資金でアプローチできる特徴があります。
2020年のSNS広告の売上は、5,687億円となり、インターネット広告媒体全体の32.4%を占めました(電通グループ調べ)。前年度比は116.1%の伸び率で今後の発展も期待できる広告媒体です。
2.Web広告の特徴
SNS広告について詳しく触れる前にWeb広告について簡単に説明しましょう。
Web広告は多種にわたり分類がしにくいのですが、大まかに、下記の3つに分類されます。
①運用型
広告を出稿しながらクリエイティブやターゲットなど修正ができます。料金はユーザーのクリック数による課金(クリック型)や、広告の表示される回数(インプレッション型)によって費用が発生する仕組みです。
②成果報酬型
ブロガーやメディアがサイト上で商品を紹介し、そこを経由して購入や問合せに至ると、報酬として費用が発生します。
③買取型
運用型や成果報酬型とは異なり、メディア内の広告枠を一定期間やインプレッション数の単位で買い取る形式です。
このうち中小企業の方が利用することの多いのは運用型で、運用型は下記の3つが代表的です。
■リスティング広告
GoogleやYahoo!の検索エンジンの広告枠に表示される「タイトル+広告テキスト」の広告で、検索連動型広告とも呼ばれます。
ユーザーの検索したキーワードに合わせて表示されるので、自社のサイトへの誘導がしやすく、検索キーワードに関心の高いユーザーがターゲットにできます。費用はクリック課金制となっています。
■ディスプレイ広告
リスティング広告の一部であり、GoogleやYahoo!が提携するサイトの広告枠に表示される、コンテンツに連動する広告です。潜在ユーザーがターゲットであり、こちらもクリック課金制です。
■リマーケティング 広告
一度自社サイトを訪れたことのある人(見込客)をCookie機能を使い追跡し、アプローチする広告です。リマーケティング広告もクリック課金制で、リスティング広告よりクリック率が高くなるのが特徴です。
運用型広告は見込み客にアプローチできるので、コンバージョンや費用対効果に優れた広告であります。運用型広告は大半がインプレッションやクリック数に応じて費用が発生する課金制のため、単価が安く、費用対効果が高いのもメリットです。
3.SNS広告の特徴
Web広告の特徴をつかんだところで、SNS広告の特徴について説明します。
①正確なターゲティングが可能
SNS広告の最大の特徴は精度の高いターゲティングができることです。
ユーザーがSNSを利用するには、年齢や性別、住んでいる地域など個人情報の入力を登録時に求められます。それを基に企業は、居住地域、年齢別、といった詳細なターゲティングができます。
また、投稿内容や「いいね!」「シェア」「フォロー」といったユーザーのSNS内の行動に基づき、趣味や関心に沿ったターゲティングも可能です。
②潜在顧客へのリーチができる
SNS広告は、特定の商品やサービスに興味・関心を持つ層を狙って広告を出すことができます。自社商品のことを知らない潜在顧客層への認知、拡大ができ、競合他社商品を利用するユーザーへのアプローチが可能です。
③若年層への認知に強い
利用者の幅が広がっているSNSですが、やはり若年層の利用者が圧倒的に多く、20代、30代のSNS利用率は9割を超えています。若者にリーチしたいならばSNS広告は外せない手段といえます。
④費用対効果を上げやすい
SNS広告では、運用型のWeb広告と同様に、ユーザーのクリック数やインプレッション数(広告が表示された回数)、エンゲージメント数(いいね!やシェア、コメントなど)といったユーザーの反応の回数によって料金が決まります。
また、SNS広告はクリック単価も他のWeb広告に比べると低めです。余分な費用が発生せず、予算を設定すればその範囲内で配信できるので、費用対効果に優れています。
⑤ファンづくり、ブランドの確立ができる
SNS広告に共感したユーザーが、広告への「いいね!」や企業のアカウントをフォローするなど、広告を拡散してくれることも期待できます。
ファンを獲得できれば、ユーザーと企業の直接のコミュニケーションが可能になり、拡散による非認知層へのリーチの獲得、アプローチも見込め、ブランドの認知や確立につながります。
⑥リーチの拡散
ユーザーにより広告が拡散されやすいのもSNS広告の特徴です。広告を見たユーザーが「いいね!」や「シェア」をしてくれれば、広告がほかのユーザーに拡散され、多くのリーチを獲得できることが見込めます。
4.Web広告との比較
同じインターネット上の広告ではありますが、SNS広告にはWeb広告より優れた点がいくつかあります。
① より絞ったターゲット層にアプローチができる
ユーザーの登録情報に基づいて広告が出稿できるSNS広告はWeb広告より精度の高いターゲティングができるため、効果が高く、費用対効果もよくなります。
② クリック率が高くなる
ユーザーのタイムラインに表示されるため、Web広告に比べユーザーの目に留まりやすく、クリック率が高くなります。
③ 予算を立てやすい
ターゲットとなるユーザー数のあらかじめわかるので、予算を立てやすく、出稿前に予算に見合うかの判断も可能です。
④ ユーザーとより密接に関われる
コメント機能などを使って、ユーザーと直接やりとりができ、効果をすぐに把握できます。
⑤ 情報拡散力が高い
「リツイート」や「シェア」、「いいね!」により非認知ユーザーへのアプローチが期待できます。
5.SNS広告の種類とメリット・デメリット
国内で利用者が多い、Instagram、Twitter、Facebook、LINE、4つのSNSの広告についてそれぞれ特徴(メリット・デメリット)をまとめ、発生する費用についてまとめました。
①Instagram
画像や動画など視覚的につながるSNSで、インパクトのある広告を表示できます。
【利用層(ターゲット)】
若年層の女性
【メリット】
- 女性が関心を持つ分野(コスメ、ファッション等)に強いです。
- 静止画、動画、カルーセル(スライド画像)、など商品やサービスに合った配信方法が選択でき、表示場所も、フィード、発見、ストーリーズと3つの選択肢があります。
- 視覚的効果が高いのでブランディングに有効的です。
- 費用は課金制で低コストです。クリック数(クリック型)と、表示される回数(インプレッション型)のほかにアプリのインストールや動画再生により費用が発生します。
- 100円から広告出稿ができるので気軽に始めやすいです。
【デメリット】
- ターゲットの幅が狭いです。
②Twitter
140字以内のつぶやきでつながる、ユーザー数の多いSNSです。速報性が高く情報が拡散されやすいのが特徴です。
【利用層(ターゲット)】
若年層
【メリット】
- 「いいね!」や「リツイート」による拡散力が強く、即効性があります。
- 広告に対しての反応をいち早く見ることができ、自社の戦略立てに有益です。
- 基本、クリック型とインプレッション型による課金制で、リツイートされた広告は追加費用が発生しないため、費用対効果が高いです。
【デメリット】
- 広告を取り消したくても、一度リツイートされた広告は消すことができません。
③Facebook
実名登録制で出身校や職種などもプロフィールに記載することができ、ビジネス目的で使用している個人も多いSNSです。
【利用層(ターゲット)】
シニア世代を含む幅広い層。ビジネス層。男性。
【メリット】
- 実名で登録されるため、精度の高いターゲティングができます。
- ターゲットが絞りやすいため、費用対効果が高いです。
- ビジネスでの利用者が多く、BtoB(企業対企業)の広告に適しています。
【デメリット】
- ターゲットが絞れるFacebookですが、登録者にしかアプローチできないのはデメリットにもなりえます。
④LINE
コミュニケーションアプリとして国内利用者が多いSNSで、年齢層も幅広いです。
【利用層(ターゲット)】
男女を問わず幅広い層。
【メリット】
- 幅広い世代、性別にターゲティングできます。
- タイムライン投稿のインフィールド広告や、LINEニュース、LINEマンガなどLINEが運営する様々なプラットフォームに出稿するディスプレイ広告など出稿先が複数あります。
- 「LINE公式アカウント」を利用することで、タイムライン投稿やメッセージ配信により登録ユーザーに直接PRができます。
- クリック型とインプレッション型による課金制で、ユーザーに届いたときにのみ費用が発生します。
【デメリット】
- ほかのSNSと違い、拡散によるリーチはあまり期待ができません。
6.SNS広告を出稿する際のポイント
SNS広告の特徴がわかったところで、出稿するまえに押さえておきたい点をまとめました。
①目的を明確にする
途中でぶれないために最初に目標を定めることは必須です。
②ターゲットを明確にする
費用対効果を上げるためにも、どの属性の人にアプローチしたいのか明確にします。
③商品やサービスに適した出稿先の選定
様々な出稿先、出稿方法がある中から、広告内容に最も適したSNSを選択します。
④インパクトのある広告の制作
他の投稿に紛れやすいSNS広告は、ユーザーの目に留まりやすい見せ方の工夫が必要です。
7.まとめ
今、最も勢いのあるSNS広告は、Web広告に比べ費用対効果や成果が高く、中小企業でも気軽に着手できる広告の一つです。その特徴を理解し、戦略を立て、ユーザーを獲得できる広告を運営していきましょう。
この記事の内容は『OHACO TV』の【SNS広告の種類とは?】でもご紹介しております!
ライター・編集者
広告代理店勤務を経て、現在はマーケティング・デザイン・HP制作会社である株式会社SMC-POWERでWeb記事ライティングやコンサルタント補佐を行う。